小出義夫さんの「物質基本粒子の質量— クォークとレプトン—」を読むと、「ニュートリノ振動」について少し分かったような気分になる。何よりも“色”とか“香り”とかが出てこないのが良い。ただしこの一節の後の段落には恐ろしい行列式が出てくる。

ニュートリノ変換
     図5 ニュートリノ振動:  Vμ → Vτ

ニュートリノは,生成時および検出時にはミューニュートリノ(Vμ) またはタウニュートリノ(Vτ)のどちらかの顔を見せる.
自由運動中はV2 とV3 の混合状態にあり,その比率を刻々と変化させながら運動する.

すでに述べたように電子ニュートリノ・ミューニュートリノ・タウニュートリノという名称は,ニュートリノを「弱い相互作用」と呼ばれる反応を利用して生成したり,検出したりするときの「状態」の名称です.(図の“寝た状態”)

一方,ニュートリノが自由に空間を運動しているときには,ニュートリノは定まった質量を持った「状態」として運動します。それをニュートリノ1・ニュートリノ2・ニュートリノ3 と呼ぶことにしましょう(図の真ん中の立った状態).

つまり,3 種のニュートリノは,(Ve, Vμ, Vτ ) という顔と(V1, V2, V3) という顔との2つの顔を持っているのです.

そして,その2 つの世界にズレが起こったとき、すなわち V1 = Ve, V2 = Vμ, V3 = Vτ でなくなったと

に,「ニュートリノ振動」という現象が起こります.

以下略