前回は異次元緩和の“ポジティブ面”について評価した。
結論としては期待された“ポジティブ面”は出現せず、まったく空振りに終わっているということである。
では“ネガティブ面”はどうなっているのか。これが今回の主題。
日銀券というのは日銀にとってはいわば約束手形みたいなものだ。
兌換制ではないから取り付け騒ぎが起きることはないが、ドルとの互換性は求められる。だから為替相場がスケールアウトして、手形が額面割れをするおそれはしっかり残っている。
手形の額面割れという事態は、究極的には円の暴落とハイパーインフレということになるが、その前に保有資産の評価のガタ落ちという形でやってくる。
最大の資産が国債であれば、国債の暴落ということになる。
そこで数字だが、日銀の保有資産は1年前が160兆円、それが1年間で240兆円に膨らんだ。実に1.6倍というむちゃくちゃな増加である。そのほとんどが国債である。(株価指数連動型上場投資信託、とか不動産投資信託などという怪しげなものもある

それで海外からの売り浴びせの危険があるかどうかだが、以前は赤旗は「国内市場で消化できているから大丈夫」と言っていたのだが、「国内といっても結局日銀が買っているだけ」ということになれば、そうも言えなくなってきている。つまり円国債の“安全神話”は異次元緩和により急速に崩壊しつつあるのだ。
現に短期国債では国内銀行の買い付け額を海外投機筋が上回ったそうだ。
何度でも繰り返すが、円は国際決済通貨ではない。一度暴落すれば歯止めは全くない。誰も見向きはしなくなる。