アイスマンがまた注目を浴びている。

アイスマンは5300年前にアルプス山中で死亡し、1991年にミイラ化した状態で発見された男。その後の研究で、血液型はO型、茶色い目、死亡時年齢は40歳代半ばで、左肩を矢で射られた上、顔をおのなどで殴られて殺害されたことまで分かっている。(特集:アイスマン その悲運の最期 2007年7月号を参照のこと)

そのアイスマンの胃の中にピロリ菌がいて、それを調べたら、現代ヨーロッパ人のピロリ菌とは違うタイプの菌だった、という話。

iceman
ピロリ菌については一般にもすでにおなじみ、胃炎、胃潰瘍、胃がんの原因とされ、除菌療法を受けた方もいるだろうと思う。

何かと目の敵にされるピロリ菌だが、アイスマンの時代から人類に寄生してきた由緒ある菌だ。

最近では例によってDNA解析の対象となってきて、そちらの方から興味を持たれるようになった。

いわばミトコンドリアと同じで、ピロリ菌にもイブがいるのかもしれない。

ここまでが前段で、今回の発見は米科学誌「サイエンス」に発表されたもので、報告者はイタリアのミイラ・アイスマン研究所などの国際研究グループ。

以下記事を引用する。

現在のヨーロッパ人の多くに見られるピロリ菌とは系統が異なり、先史時代にインド付近に住んでいた人たちが持っていたのと同じ系統だという。

これに対し、現代ヨーロッパ人のピロリ菌は、先史時代に北アフリカに住んでいた人たちが持っていたものと共通性が高いことが知られている。

つまり、アイスマンは現代ヨーロッパ人と異なるルーツを持ち、現代ヨーロッパ人はその後に北アフリカからヨーロッパに入ってきた可能性があるということになる。

ピロリ菌の系統は、現在以下のように分類される。

A)hpAfrica2 アフリカ型2

B)hpAfrica1-hpSahul-hpAsia2 アフリカ・サフル・アジア型

 ①hpAfrica アフリカ型1

 ②hpSahul サフル型

 ③hpAsia2-hspEAsia 中央アジア・東アジア型

この内、B)群の三種が現代に通じる種類で、②はオーストラリアのアボリジニー、③は中東からアジア、アメリカ大陸のほとんどをふくむ。今回の発見は現代ヨーロッパ人が①の末裔であることを示唆している。

復元図のアイスマンはいかにもヨーロッパ人風であるが、もっとエジプト顔していた可能性がある。

5千年前といえば紀元前3千年で、すでに4大文明は開花し、エジプトやメソポタミアの文化は地中海に波及していたと考えられる。

だからアイスマンがインド系由来のピロリ菌を持っていたとしても不思議はない。むしろ問題はその後で、そのように波及した文化が一旦後退し、紀元前3千年から2千年の間に、今度は辺境北アフリカ由来の人種がジブラルタルを渡ってヨーロッパ人を形成したことになる。

これまでは、どちらかといえば、ヨーロッパ人はロシアの大平原あたりから西進してきたと考えられていた。主に言語学的知見から、インド・アーリア系として一括されてきた。このようなヨーロッパ人起源説にかなりの変更が加えられる可能性が出てきたことになる。

以上とりあえず、赤旗の記事から紹介する。