面白い表を見つけた。出典は杉野圀明「戦後期における日本資本主義と生産力基盤問題」という論文。立命館大学の先生らしい。

元ネタは経済企画庁の発行した「戦後経済史」という本だ。

生産設備

前の記事でも書いたように、生産にはヒト、モノ、設備が必要だ。基幹産業であれば、人はある程度確保されていたろう。しかしモノは原料、エネルギーをふくめ皆無に等しかった。そこで問題はヒトとモノさえ確保できれは生産再開が可能だったかということになる。

それが上記の空襲被害率だ。本格的に空襲が始まった昭和20年初頭から7ヶ月の間にどれだけの設備がやられたかという表である。

火発は3割がやられた。石油精製能力は6割が失われた。どういうわけか肥料工場が徹底してやっつけられている。

これに対して製鉄工場の被害はゼロということになっている。水力発電もゼロだ。その他はアルミ、工作機械、自動車、セメントが20%台とやられている。

これは日本側の資料だが、毎日新聞によると終戦直後に「アメリカ合衆国戦略爆撃調査団」という調査グループがきて、空爆の効果を調べているそうだ(未見)。

空襲効果
これだけで云々するのもなんだが、意外と設備は残っていることが分かる。逆に言えば日本は原料・エネルギー不足で操業停止に追い込まれたことになる。

つまり空爆というのは、産業構造破壊には意外に役に立っていないということだ。むしろ国民に恐怖を与え苦しめるという心理的効果のほうが大きかったのではないか。

しかし、もしそれがわかってやったとすれば、これは非人道的作戦で「人類に対する罪」を構成することになる。

いずれにせよ、日本を敗戦に追い込む上でもっとも効率的だったのは、機雷封鎖と輸送船攻撃による経済封鎖作戦だったことになる。