あまりにむごい 伊方原発

伊方原発が再稼働に向けて動き始めている。すでに外堀は埋められたようだ。

地図を見てみると、2つの点に気付かされる。

ひとつは、伊方原発が見事に中央構造線の直上に建てられているということだ。中央構造線は南アルプスに始まり、四国を横断して阿蘇山に至る大断層だ。とりわけ紀の川、吉野川、新居浜から佐田岬半島へと繋がるあたりは実にくっきりとしていて、ある種の美しさを感じてしまう。テレビの天気予報で毎日日本地図を見るたびに、まるで吉永小百合を見ているかのような錯覚にとらわれる。

これだけラインがくっきりしているといのは、その断層がまだできて間もない新鮮なものであることを示している。地形というのは絶えず侵食を受け、どんどん崩れていくものである。人間も年を取れば角が取れ、皮膚は渋皮のようになり、どんな美人でもただのババアになってしまう。

つまり伊方はとびっきり生きのいい断層のどまんなかにあるということが分かる。

もう一つは伊方原発が佐田岬半島の付け根に位置するということだ。半島を腕とすると、伊方原発は脇の下になる。動脈、静脈、知覚神経、運動神経、リンパ管のすべてが原発の直ぐ側を通過している。ここに何かあれば、たちまち腕そのものがダメになってしまう場所だ。

ダメになった腕はどうなるか、その住民はどうなるか。

瀬戸内海は島が非常に多い。しかしどういうわけかこの辺り一帯に限って島はない。周りは伊予灘と豊後水道だ。だから住民は放射能をたっぷり浴びて死ぬしかない。

それを分かっていて、やるのだから、随分むごいことをするものだ。

電気は足りているのだから、再稼働に国益はひとつもない。目的はただひたすら金のためである。

安全神話がまかり通っていた時代、騙されたと言い訳もできるだろうが、福島原発の後、その言い訳はもう通用しない。

賛成派の人というのは金のために、自分の利益のために目が見えなくなって、ご先祖様も子孫も半島の先に住んでいる人たちも、勝手に売り飛ばして恥じない人らしい。伊方原発というのは、存在そのものがそういうどす黒い悪意の塊りなのだ。地図を見ていて、つくづく思う。

つけたし

伊方町は佐田岬半島の全体をふくむ町である。

付け根から順に旧伊方町、旧瀬戸町、旧三崎町の3つの町からなる。人口はちょっと古いが平成大合併ころのもので、伊方町が1万人、瀬戸町が3千人、三崎町が4千人の人口を抱えていた。

いまはすべて合わせても1万人しかいない。過疎化のレベルを超えて限界集落化が進んでいる。

集落の名は全て「…浦」となっており、海岸沿いの僅かな平地にそって集落が点在しているさまが予想される。(グーグルの航空写真を見てもまさにそうなっている)

瀬戸町の中心三机には宇和島藩のお番所がおかれ、明治の頃にはなんと三机銀行まであった。ここが南北700メートルしかない地峡だったため、パナマのような地位にあったのである。徳川時代初期には実際に運河づくりが着工されたが挫折。おかげで宇和島藩は改易となっている。

佐田岬

旧伊方町は原発に身売りする代わりにたんまり金をもらったが、瀬戸町、三崎町はあずかり知らない。しかし事故が起きれば、伊方の人は逃げられても瀬戸町、三崎町の人は逃げ場所がない。

これはあまりに不条理ではないか。