「トヨタ自動車のインド子会社が労組員を対象とするロックアウトを行った」というニュースが聞こえたのが半月ほど前のこと。
今度は、職場復帰の条件として「誓約書」への署名をもとめ、拒んだ場合は鯛入りを認めないと通告したという。

インドの労働運動をめぐる環境は良く分からない。労使慣行のなかでよく用いられる手段の可能性もある。しかしインドの労働センターの幹部は次のように語っている。

労働争議はインドの企業でも頻発しているが、近年は日本企業が労組に対し強硬な態度に出るケースが目立つ。

ということで、その強硬路線はインドの中でも突出しているようだ。

一般的には、日本人はこういう労使紛争に慣れていないし、基本的には労使協調路線をとることが多いと思うが、なにせ神秘の国インドだから、現地のスタッフに委ねるケースも多いと思う。

ただ、ロックアウトといい、誓約書の強制といい、どうも大人げない対応だと思う。

誓約書は、「ロックアウト通知書」を読み、理解した上で、服務規程の順守を誓約する、となっている。

服務規程の順守は当然だが、会社側の闘争戦術であるロックアウトを受け入れる誓約書は、「ごめんなさい、もう二度としません」という踏み絵にも受け取れる。

労働者の神経を逆なでするし、第一、「労働者のはたらく権利」という思想を侵害し、労働契約をめぐる諸法に違反している可能性も低くない。

立場が逆になったとして、会社が労働者の「ストライキ通知書」を理解せよと要求されて、「ごもっとも」と誓約するだろうか。

インド国民全体への挑戦とも受け止められかねない、危うい内容をふくんでいるように思える。