ビットコイン問題が最初分からなかったのは、マスコミの報道がビットコイン側に踊らされていたためだったようだ。

典型的なのが、例えば3月1日の産経新聞。

消失したのは85万ビットコインで約114億円相当と説明したが、最新の取引価格で約480億円相当に上る。

これはマウント社の説明そのまんまだ。

記者は不勉強の誹りを免れ得ないだろう。ただ事件の背景を知るために、ビットコインの専門家のところにいってしまったのかもしれない。我が身に置き換えてみると、分からないでもない。本当はネット犯罪の専門家のところに行くべきだったのだ。

はっきり言えば、ビットコインが何枚消えてなくなろうと、それがなんぼに相当しようと、そんなことはどうでもいいのである。

問題はキャッシュが消えたことなのだ。そしてそれがセキュリティの穴をかいくぐって盗みだされたらしいということなのだ。

つまりビットコインそのものの安全性とか、その仕組に絡んで起きた事件ではなく、ごく単純な窃盗事件だ。

 

セキュリティー会社の社長は「「秘密鍵を管理できるビットコインの『財布』のパスワードを盗めば、大量の不正引き出しも可能だ」と語っているが、そんなことはサルでも分かる。

「盗んだ人のアドレスは分かるはずだ」と書いてあるが、入会時の審査が甘ければ、勝手なアドレスで契約することは可能だろう。

もう少し高級な手口を使っている。

ネットの記事を総合すると、こういうことだ。

手持ちのコインを提示して、現金への引き換えを要求する。市場はこれに応じて口座に現金を振り込む。口座からは受領のサインが送り返される。ところが受領のサインが送られないように細工する。

そうすると、受け取りがもらえないから、市場側のコイン残高は減らない。

ここでまた引き出し請求をすれば、市場側は同じようにまた送金する。しかし受け取りはもらえない。

ということで、預金者は無限に金を引き出せるという仕掛けになる。

ただどんどん現金が減っていけば、市場側のコンピューターに安全装置が作動するはずだが、そこをいじられている可能性が高い。

さらに、受領サインをもらっていない送金件数が増えれば、これも警告が出るはずだが、ここもやられていたことになる。

ここが分かれば、「ビットコインとはなんぞや」などという話を仰々しく持ち出す必要は全くない。

何人かのブログ主が、実に懇切丁寧に説明してくれているが、見事に勘所を外しているから、読むといっそうわからなくなる。