東大話法というのがあって、ウィキペディアにその特徴が箇条書されている。

多分に感情的な評価であり、この言葉をはやらせようという魂胆も透けて見えて、嫌な言葉である。

むしろ、現代における詭弁の技術とか、ディベート必勝法とか、もっと平ったく「口喧嘩に負けない方法」とか言って売り出せば、筋は通る。しかしそれでは売れまい。

とりあえず、引用しておく

  1. 自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
  2. 自分の立場の都合のよいように相手の話を解釈する。
  3. 都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。
  4. 都合のよいことがない場合には、関係のない話をしてお茶を濁す。
  5. どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す。
  6. 自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する。
  7. その場で自分が立派な人だと思われることを言う。
  8. 自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。
  9. 「誤解を恐れずに言えば」と言って、嘘をつく。
  10. スケープゴートを侮蔑することで、読者・聞き手を恫喝し、迎合的な態度を取らせる。
  11. 相手の知識が自分より低いと見たら、なりふり構わず、自信満々で難しそうな概念を持ち出す。
  12. 自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。
  13. 自分の立場に沿って、都合のよい話を集める。
  14. 羊頭狗肉。
  15. わけのわからない見せかけの自己批判によって、誠実さを演出する。
  16. わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する。
  17. ああでもない、こうでもない、と自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いところを見せる。
  18. ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす。
  19. 全体のバランスを常に考えて発言せよ。
  20. 「もし◯◯◯であるとしたら、お詫びします」と言って、謝罪したフリで切り抜ける。

私の判断

1.公人として話すときは、私情はさておいて、みずからの立場をわきまえて話す。これは当然のことである。私情をむき出しては言論やくざになってしまう。

2.これは相手の議論を歪曲、曲解することになり、議論としては拙劣だ。ただ議論したくない相手を振り払うには有効だ。それで相手が激昂すればしめたもの。

3.これは、詭弁の基本的スキームだ。議論を自分の土俵に持ってくることは戦いの必勝法だ。ただし冷静な相手には見破られるし、司会を挟んでの討論ではなかなか通用しない。

4.これはつけたし。あまり頻用すると馬鹿にされる。

5.自信満々で語ることは議論の前提、「結局、何を言いたいの」みたいな人とは議論にならない。「どんなに…」は主観の問題。

6.これは防御テクニックの基本。Aさんの主張を引き写しにしながら、「Aさんにの主張には重大な問題がある」とかいって攻撃を避ける方法だ。

7.これは非本質的だ。ただの「威張りたがり」だ。

8.多人数で議論するときのテクニックだが、かなり危険である。司会の役割を奪ってしまうことになり、万座の指弾を浴びる危険もある。

9.これも非本質的だ、どう前置きを置こうと嘘は嘘だ。

10.これは状況を一気に打開するために有効な手段であり、ヤクザ評論家によってしばしば用いられる。基本的には卑劣な手段だが、勝った時は卑劣と思われないで済む。ただやり過ぎると後ろから足払いをかけられて面目を失う。

11. これは議論を抽象化することで逃げ出すためにも用いられるが、それ自体は必ずしも詭弁とはいえない。議論が白熱する場合は、議論対象の正確な位置づけをしないと話がぶれるからだ。「その問題はこういう性格とこういう性格を持っている」と整理しながら議論をすることで内容が深まるのだが、それは一面では議論を抽象的なものにしかねない。

12.これは論外だ。下手をすれば炎上する。

13.これは実例を上げて自分の論理の傍証とするための手段の一つであり、至極まっとうなテクニックだ。

14.これも論外。

15.「至らない点も多々ありましょうが…」ということで、議論の枕詞としては日常的に使われるので、一種の礼儀である。

16.わけのわからないことを言っていては議論にならない。「訳の分からない人だな」と馬鹿にされるのが落ち。(むかしの竹下首相が使っていた)

17.7番におなじ

18.これはやってはいけないこと。相手を怒らせること請け合い。

19 そのとおり。

20.これはうまいテクニックだ。謝罪のテクニックとしては最低だが、議論の途中にうまく織り込むと、かなり効きそうだ。

ということで、東大とは何の関係もない詭弁のテクニックを思いつくままに並べただけのものだ。

ここに書いてない議論のテクニックを一つ2つ挙げておこう。

1.それはあなたの考えでしょう。あなたの考えにすぎないでしょう。(相対化)

2.それはたんなる事実でしょう。それがあなたにとって、あるいは私にとってどんな意味があるのですか。(価値論の混入)

3.それは確率の問題であって、断言する問題ではないでしょう。(この逆ばりが、「絶対にないとは言い切れないでしょう」という前振り)(不可知論)

4..なぜそうなのかをしっかり言わなければ、何も言ったことにはなりません。それで、なぜそう思うのですか。(子供の「なぜ?」攻め)