STAP細胞 つまづきは成功の元

STAP細胞の雲行きがますます怪しくなってきた。ただ、小保内さんの研究は前の東大先端研の食わせ物とはまったく違う。十分検討に値するものだ。

今回のつまづきは研究の内容を整理して、本筋を明らかにするチャンスだと思う。

2月22日の記事で「STAPはエピジェネティクスの解除」と書いたが、そこに的を絞るべきである。

繰り返すが、今回の研究の革新的意義は、細胞のイニシエーションのもう一つのパスを発見したことにある。DNAの直接操作を介さない道だ。

発明でもなく、生物工学でもなく、まさに自然科学の王道を行く「発見」なのだ。

小保内さんはそこを把握していない。だから、前のめりになって次々と新たな技術を積み上げてしまったのだ。

22日の記事を再掲する。

STAPというのはエピジェネティクスの解除だということが分かった。
ただ、エピジェネティクスと振りかぶる必要はないように思う。CpG結合のメチル化の解除ということだ。
DNAをいじらなくても、メチル化(その他)を解除することで先祖返りできるということだ。

“最悪”でも、そういう可能性が開けたということは間違いない。振り返って山中の幹細胞でも、DNA改変のみならずそれに付随してメチル化の変容が起きている可能性が示唆される。

話の都合上、メチル化の解除に絞ったが、他にもいくつかのメカニズムが考えられている。

メチル化の解除にはむしろ培地の性状や至適温度などの条件が検討されるべきで、酸性刺激などは最後の一撃と考えられるべきであろう。

我々にとって大きな夢は、DNAの周囲を取り巻くネットワークの存在と、その遺伝への役割が明らかになることである。

22日の記事を再掲すると

DNAの周囲にはメチル化誘導酵素を介在する一定のネットワークがあって、その中に個体発生とか“生物学的個性の発現”に関する記憶が蓄積されている可能性がある。

ゲノムがようやく解析できたばかりだというのに、さらにDNA周囲のネットワークまで手を広げるのは大変な作業だが、それが必要になってきたぞというヘラルドとしての役割を、小保内さんは見事に果たしたのではないだろうか。