シリアの和平会談が始まった。
最大の意義は「自由シリア」など反体制勢力が交渉のテーブルについたことであろう。
軍事的には反体制派は追い詰められている。2年前には考えにくかった構図だ。理由ははっきりしているので、補給線が絶たれたのだ。しかしその理由がはっきりしない。
反体制派が北部のアレッポを確保して、ミサイルで政府軍機を落とし始めたとき、私はこれで勝負あったな、と思った。しかしその後ミサイルの話しはとんと消えた。
誰かがミサイルを供与し、途中で供給を止めたのだ。

誰か? 直接には分からないが、イスラエルが関与していることは十分考えられる。

近代兵器を供給できるのはアメリカ・イスラエル・トルコの三国だ。
以前にも述べたが、アメリカの中東軍事政策は、ユダヤロビーを通じてイスラエルの意向を受けている。トルコは、政府がどうだろうとトルコ軍はアメリカの指揮の下にある.

イスラエルは最初は反対派を炊きつけて、アサド政権を解体することは利益になると思った。レバノン国境で一番の脅威はヒズボラであり、一度ならず痛い目にあっている。
イラン・シリア・ヒズボラとつながる線を何処かで断ち切りたいのはよく分かる。

しかし自由シリア軍にカタールあたりが肩入れするようになり、スンニ派の影響力が増してくると、これはこれで、また困ったことになる。

というふうに読んだのだが、どうだろう。

いずれにせよ、反体制派に勝ち目はない。しかもこのまま戦闘が続けば、反体制派が壊滅する代わりにアルカイダが北部・東部にミニ国家を形成することになる。

アサド政権が残り、イラン・シリア・ヒズボラ回廊が無傷のままで、さらにイラクを聖域とするアルカイダのミニ国家が登場するのでは最悪だ。

これが、アメリカ(イスラエル)が和平会談を強引に実現した背景ではないだろうか。

それでは落とし所はどうなるのか。

おそらく「自由シリア」と反体制派の聖域確保と自衛能力の維持ということになるだろう。その上で、アルカイダのシリアからの駆逐を図ることになるのではないだろうか。

今朝のNHK衛星放送に放送大学の高橋教授という人が出てきて、「和平の実現には時間がかかるだろう」と言っていたが、必ずしもそうとはいえない。

基本的には障壁は「自由シリア」にアサド政権の存続を認めさせるだけのことだ。これは所詮亡命政権だから、赤子の手を捻るようなものだ。
国内で闘っている連中には、アルカイダとの闘いに必要な武器に限定して供給すると約束すれば良い(もちろん裏約束だが)

まったく素人の観測に過ぎないが、ニュースや解説でこういう評価にはお目にかかったことがないから、一応旗はあげておくことにする。