「マンスリー・トピックス」No024 H25.10.24

「輸出の増勢に一服感が見られる背景について」

2.貿易赤字増大の構造

レポートは、J カーブ効果を除外した貿易構造の推移を試算している。

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 J カーブ効果がピークに達した5月に、貿易構造は最も改善しており、J カーブ効果を打ち消した。逆に円安効果が現れ始めた9月に貿易構造は最悪の状態に陥っている。

5月の貿易構造改善の理由は、驚くことに石油の輸出であった。このとき在庫調整のため大量の備蓄石油を海外販売したのである。

悪化に寄与したのは輸出数量が減ったことと、輸入数量が増加したことだ。

レポートはやや姑息な説明を行っている。

輸出数量が2月から4月にかけて増加して赤字縮小に寄与したものの、その増勢が鈍化したことに加えて、国内景気の持ち直しに伴い輸入数量が増加したことによる。

輸出数量の寄与度は、「増勢が鈍化」したのではなく、激減している。輸入数量は著増しているものの、輸出数量の激減に比べればおとなしいものだ。「国内景気の持ち直しに伴い」云々は、言わずもがなのコメントだ。

3.輸出数量減少の要因

余計なコメントは入れたものの、やはり輸出数量の激減が気になることに変わりはない。

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2010年を100としてわずか3年間で15%も低下している。とりわけ12年下半期の低下が著明であり、回復の兆しはない。

そこで地域別、品目別の輸出数量に関する分析を行っている。図はかなり煩雑なので省略する。

輸出数量指数の地域別寄与

日本の最大輸出先はアメリカ、中国、東南アジアである。

アメリカ向け輸出が5月以降、中国向け輸出が6月以降停滞している。アジア(除く中国)向け輸出は大幅なマイナス寄与となっているが、要因は国ごとに異なり単純ではない。

アメリカの輸入における日本のシェアは、多少の振れはあるものの、このところ横ばいで推移している。自動車においては現地生産が輸出を食い、総体としてのシェアはほぼ横ばい。

中国については、中国の成長鈍化や景気低迷では説明できない輸出の減退がある。(はっきり言えば安部首相の言動による悪感情)

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奥歯に物の挟まった言い方だが、レポートのコメント。

日本の中国向け輸出は、2012年9月の尖閣問題発生以降、減少が続いた。2013 年の年初以降はその影響も薄れ、輸出数量は増加に転じたが、6月以降はふたたび伸び悩んでいる。

一方、中国経済は、景気の拡大テンポは安定化しつつある。

そのため、日本の中国向け輸出の鈍化は、中国の景気以外の要因が影響している可能性がある。

つまり、長期的・構造的な問題は問題として、短期的に輸出を停滞させているのは、安倍首相の中国を仮想敵とする軍国主義政策であるといえる。

輸出数量指数の品目別寄与

輸送用機器(自動車)は2012年1月にプラス寄与が大幅に拡大し、それ以降も一貫して増加に寄与している。それ以外は一般機械、電気機器ともプラス寄与はなく、電気機器はむしろマイナス寄与が大きくなっている。

電気機械は夏のスマートフォン輸入ブームはあったものの、全体としては必ずしも落ち込んでいるわけではない。