輸出額は前年比で10%程度増えている。しかしこれは円安による見かけのものだ。輸出はほとんどが米ドル決済だから、80円が100円になれば、同じ輸出量なら20%増えなければならない。
当然、外国のバイヤーからは値引きを要求されるだろうから、20%まるまる懐へという訳にはいかないから、それなりに下がるだろうが、それにしても少ない。

日経新聞では内需の回復、海外生産の増加、アジア市況の低迷という3つの事情をあげている。
つまり円安は悪い選択ではなかった。しかしいろいろな事情が発生したために、所期の効果を発揮できなかったというのだ。ああ言えばこう言うものだ。

もう一度、時系列にそって問題を整理してみよう。

円安によって日本の製造業が回復し、設備投資が復活することが期待されてきた。安倍首相は、円安によっていずれ輸出が盛り返し、円安によるマイナスの影響はなくなると説明していた(Jカーブ効果)

だがその後の貿易統計からは、そのような兆候はまったく見られていない。例えば救世主たるべき自動車は、台数で見ると0.6%の減だ。生産財輸出も明らかに減少している。

これは、「産業力」の衰退が、もはや環境では説明できないほど鮮明になったということではないか。

Blogos はこう書いている。

日本の製造業はすっかり弱くなってしまい、値段が高くてもいいから買いたいという製品ではなくなってしまったのだ。

そんな製品を安くして売っても、もはや誰も見向きはしない。いずれ投げ売りになるのを待っている。

日本の大企業経営者はすっかり路を間違えたのだ。日本製品をもっと売り込むためにはもっと安くしなければならない。そのためには労働者をもっと搾取しなければならない。
そうやって日本の高度な消費水準を引き下げた。
肝心なことは、消費が需要を生むということ、消費が生産を支えるということだ。そこを見誤れば当然こういうことになる。

内部留保も確かに大切だが、消費とのバランスを超えて蓄積しても、それは死に金にしかならない。