少し遅れ気味だが、2013年の十大ニュースというのを総まくりしてみた。


2013年経済10大ニュース : 経済ニュースゼミ - ライブドアブログ

というページは小笠原誠治さんという人の私選である。

なかなか鋭い。10項目にするために結構かぶっているが、順位は別として順当だ。とくに貿易赤字拡大の分析は出色だと思う。

1.「アベノミクス効果」

インフレにすることが景気回復に資するという考え方を支持できないが、アベノミクスの効果で経済の風景が一変したことは事実。

2.「世界的な株価の上昇」

主に米国と日本の株価だが、NYダウが最高値を更新していることは事実。しかし5月にバーナンキ議長がテーパリングの可能性に言及しただけで大暴落したことは、この株価上昇の意味を象徴。

3.「円安の進行」

その正負の波及効果はこれから現れるだろう。

4.「異次元緩和策の発表」

黒田総裁は、マネタリーベースの量を2年で2倍にすると断言し、実行している。しかし、所期の効果を発揮しているとは思えない。

5.「米国の財政を巡る政治のねじれ」

10月には連邦政府機関の一部閉鎖まで至ったが、案外経済に影響していない。なぜか?

6.「テーパリング決定」

量的緩和策の規模が縮小された、しかし5月のような事態は起きなかった。なぜか?

7.「消費税増税の決定」

消費税の増税を決定する一方で、5.5兆円の経済対策を実施する。何のための増税か?

8.「貿易赤字の拡大」

円安なのに輸出が増加しない。これが貿易赤字の拡大の原因だ。なぜ増えないのか?

このままだと、貿易赤字が円安に拍車をかけることになる。そうすると国債価格が低下することになる。

安易な財政出動がもたらす最悪のシナリオだ。

9.「日銀総裁の交替」

日銀総裁の交替人事が、アベノミクスの実施に当たって大きな役割を果たした。それは日銀の独立性の毀損をもたらした。

10.「キプロスの金融危機の発生」

このニュースが注目されるのは、預金元本の大幅なカットというドラスティックな解決策だ。


大和総研のサイトに調査本部の本部員の投票による「2013年の10大ニュース」が載っている。

正直のところ、株屋さんの相場である。品格はない。

1位 2020年夏季五輪・パラリンピックの開催地が東京に決定(9/8)
2位 日銀が異次元の量的・質的緩和を決定(4/4)
2位 消費税率8%への引き上げ決定(10/1)
4位 参院選で自民、公明両党が過半数獲得、ねじれ解消(7/21)
5位 富士山が世界文化遺産に決定(6/22)
6位 安倍首相、TPP交渉参加を表明(3/15)
7位 楽天の田中投手が連勝の新記録(8/9)
8位 米FRB、量的緩和の縮小を決定(12/18)
9位 中国が尖閣諸島を含む防空識別圏を設定(11/23)
10位 特定秘密保護法成立(12/6)

ただ、政治がらみの話題も取り上げているところはおもしろい。


ハフィントン・ポストは10本に絞らず、重大ニュースとしている。経済というよりビジネスだ。「解雇特区」の記載は面白かった。ガンホーショックというのは知らなかった。

1.日銀が「白から黒へ」アベノミクス・リフレ派への反対は何だった?

もともとリフレに反対していた日銀の審議委員らも「白から黒へ」態度を豹変。4月には「異次元緩和」が行われた。

2.TPP交渉参加決定に

「異常な秘密主義」のために、どのような交渉が行われているか分からない状態でもある。結果、交渉は難航。年内妥結は見送られた。

3.消費増税の決定で、いろいろ値上げも…

4.「軽自動車税」や「高額飲食税」、増税は消費税だけじゃない?

5.「賃金アップ」や「五輪開催」で「人材不足」の懸念も

6.「解雇特区ではないですから」硬い岩盤規制と規制緩和

雇用の流動化を促す特区については「解雇特区」と大批判を浴び、議論を行うことすらが先送りされた状態だ。

7.クールジャパンと原発売り込み

8.個人投資家を襲った「ガンホーショック」

人気スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」を展開していたガンホー。7月にはパズドラ1700万ダウンロードを達成したが、四半期ベースでの減収減益に失望売りが殺到して下落。「ガンホー・ショック」と呼ばれた。

9.ドコモのiPhone参入 ソフトバンクの海外進出


「WSJ日本版が選ぶ2013年10大ニュース」

のランキングはどうもピンと来ない。

WSJ日本版読者の反響、記事本数が多かったトピックス、および米国・アジア版記者が取材したテーマの中から、WSJ編集部がランキング形式で選定したもの。

というが、ずれているだけでなく、ずれ方に法則性がない。編集部の姿勢が問われそうだ。

1 米政府一部閉鎖と債務不履行の危機
2 国内外から注目を集める「アベノミクス」
3 金融緩和から出口探る米FRB
4 米国NSA盗聴問題
5 シリア内戦
6 中国 薄熙来(はくきらい)失脚
7 相次ぐIT企業の大型再編
8 福島第1原発の汚染水問題
9 ボーイング機事故
10 世界各地の異常気象

「経済界」という雑誌の「2013年の10大ニュース」は見出ししか読めないが、十分です。

  • 其の1 アベノミクス始動
    中間地点に差し掛かかりいまだ着地点は見えず

  • 其の2 東京オリンピック招致決定
    日本が抱える課題を一気に解決し再成長へと舵を切る起爆剤に

  • 其の3 モバイル再編 ソフトバンクは世界戦略を本格展開
    日本の携帯機器メーカーは淘汰

  • 其の4 東証・大証が統合 新たに誕生したJPXの滑り出しは順調

  • 其の5 みずほ銀行反社取引問題
    対策を強化するも問題は金融業界全体へ波及

  • 其の6 カネボウ製品自主回収問題
    優良企業花王の顔に泥を塗ったカネボウ化粧品の隠蔽体質

  • 其の7 食品偽装表示問題 雪崩式の発覚で規制強化の方向へ

  • 其の8 東電処理問題 瀬戸際の東京電力、どうなる再建計画の見直し

  • 其の9 消費増税が決定
    2段階増税の不安を払しょくし成長を維持できるか

  • 其の10 富士山の世界遺産登録
    20年越しの悲願達成で観光立国への第一歩となるか

あの寺島実郎氏の選んだもののようです。

モバイル再編、みずほ、カネボウ、東電あたりはいい感覚だと思います。


案外無いもので、グーグル検索ではこんなものです。

つまるところ、2013年はアベノミクスに始まりアベノミクスに終わったということでしょう。

アベノミクスと言っても取り上げられるのは異次元緩和だけです。

ただこれが国際環境とマッチしたために、円安・株高という予想外の効果をもたらしました。

いわば棚ボタ効果を、アベノミクスの成果だと言って宣伝し、みんなも多少その気になっている、というだけの話です。

ただ、第二の矢についてあまり触れられていないのが気になります。大量の財政出動(公共投資)がどのようなものだったのか、それがどのような効果を生んでいるのか、(というより効果を産まなかったのはなぜか)、という分析があまり目に止まりません。

もう一つ、アベノミクスの対極として位置づけられていた「財政再建論」が見事に姿を消しました。その行方もしっかりフォローしないと、片手落ちになるでしょう。