チャイコフスキーのピアノ小曲がふと聞きたくなり、作品10の夜想曲あたりから聴き始めた。その内、四季まで行った。

むかしソノシートでレフ・オボーリンの舟唄とトロイカは繰り返し聴いたものだ。やはりこの二曲、それに「1月」が頭抜けている。1月はブロンフマンの演奏が良い。アンコールで弾いたらしく、残念ながらこの曲だけだ。

昔から、舟唄と Lover come back to me が似ているのが気になっていた。ほとんどパクリだろうと思っていた。

本日、ヒマに任せて調べてみたら、下記のページがあった。

http://homepage2.nifty.com/jazzsong/essay01.html

より

クラシックのメロディーを下敷きにしたスタンダード

1.Good night sweet heart
  (1931 作詞・作曲レイ・ノーブル、ジミー・キャンベル、レジナルド・コネリイ)
  シューベルトの交響曲およびリストのプレリュード
2.You'd be so nice to come home to
  (1942 作詞・作曲 コール・ポーター)
  サラサーテのチゴイネルワイゼン
3.You are my lucky star
  (1935 作詞:アーサー・フリード、作曲:ネイシオ・ハーブ・ブラウン)
  リストのハンガリア狂詩曲にやや似ていると言われる
4.Lover come back to me
  (1928 作詞:オスカー・ハマスタイン二世、作曲:シグムンド・ロンバーグ)
  チャイコフスキーのJune Barcarolle(舟歌)

5.Lullaby of Broadway 
  (1935作詞:アル・デュビン、作曲:ハリー・ウォーレン)
  ブラームスのハンガリアンダンス及びオッフェンバックのホフマンの舟歌
6.Avalon 
  (1920 作詞・作曲:アル・ジョルスン、B.G.デシルバ、ビンセント・ローズ)
  プッチーニのオペラ トスカ のなかのアリアE Lucevan le stelle星は光りぬ
7.Stranger in Paradise
  (1954 作詞・作曲:ロバート・ライト、ジョージ・フォレスト)
  ボロディンのオペラ イーゴリ公 の中のProvetsian Dancesプロフツ人の踊り
8.The Anniversary song
  (1947 作詞・作曲:アル・ジョルスン、ソール・チャップリン)
  イワノヴィッチ ドナウ川のさざなみ
9.A Lover's concerto
  (1965 作詞・作曲:デニー・ランデル、サンデイ・リンザー)
  バッハのメヌエット
10.I'm always chasing rainbows
  (1918 作詞:ジョゼフ・マッカーシー、作曲:ハリー・キャロル)
  ショパンの幻想即興曲
(情報ソース The Great Song Thesaurus, ジャズ詩大全、他)


ちゃんと作曲家が自分で白状していることが分かった。とりあえず安心して年が越せる。

この曲は1928年の発表で、ブロードウェイの The New Moon というショーのために作曲された。純粋なアメリカ製である。

ついでにyoutubeからこの曲を拾ってみた。

並んでいる上の方から順に聞いていく。

LOVER COME BACK TO ME 訳詞付 / Dinah Shore

日本人の方がアップされたようで、訳詞付きというのが嬉しい。歌はまさに正調のジャズ、実にうまい。ほれぼれとする。きっと知らずに聴いていたのはこの演奏なのだなと思う。

Billie Holiday - Lover, Come Back To Me (Mercury Records 1952)

ダイナ・ショアの演奏へのコメントに「これを聞かなきゃ、この曲を聞いたことにならない」みたいなことが書いてあった。聞いてみたが、「あっ、そう」という感じだ。ただオスカー・ピーターソンのピアノはめちゃいい。

Ben Webster - Lover Come Back To Me (1957)

これはぜひ聞いてください。鳥肌が立ちます。

Lover Come Back To Me (New Moon)

極めつけがこれ。Featuring clips of the song from the duo's 1940 musical 'New Moon'.と書いてある。第二次大戦真っ最中である。ブロードウエイでの上演は1928年だから、この年に映画化されたということであろう。

歌手は

実にゆったりと美しく歌い上げている。

こんなコメントがあった。

I remember sitting in a movie Theatre in London during an Air Raid, could hear the guns blazing outside while they sang this song, Thanks for the memory.

そりゃそうでしょうね。男性がバルカロールのメロディを歌いながらシルエットで登場するところなど、涙ボロボロだったでしょう。

ついでに、それより一回り昔の音源が二つ。

Rudy Vallee - Lover, come back to me (1929)

Annette Hanshaw - Lover Come Back To Me (1929)

ということで、1940年に出来た歌だと思ったら、それより10年以上前の音源がアップされていた。

別のコメントには

"New Moon" was filmed twice, once in 1931 with Grace Moore and again in 1940 with Jeanette MacDonald and Nelson Eddy

とあった。

ギターの伴奏で、ところどころにジャズっぽい味付けはしてあるが、タンゴ歌手が歌ってもおかしくない雰囲気だ。

ものすごいリマスタリング技術で、音はきわめて鮮明、針音や雑音も全く聞こえない。

Donald Byrd - Lover Come Back To Me

ダンモなど無縁の私だが、それでもこの演奏には胸がすく思いがする。

Larry Adler - Lover Come Back To Me - Paris, 31.05.1938

このハーモニカはすごい。38年5月のパリというのが、なにかイメージをかき立てる。

ラリー・アドラーで検索したら下記のような一節があった。

スターとしての名声を手にいれたアドラーだったが、マッカーシーの「アカ狩り」の嵐のなか48 年に共産主義者として政府のブラックリストにのせられ、ヨーロッパに逃れることに。53年のイギリス映画『ジュヌビエーヴ(邦題「おかしなおかしな自動車競争」)』の音楽を担当し、アカデミー賞にノミネートされた時も、クレジットは匿名になっている。


ここまでがおすすめ。以下はヒマがあったら、という程度。

Erroll Garner: Lover Come Back To Me

Lover Come Back To Me - Ella Fitzgerald

スイング感がなんとも言えず心地よい。それだけ。

Anita O'Day - Lover Come Back To Me

すべてが中途半端で、何をしたいのかよくわからない演奏である。

Earl Hines - Lover come back to me

なんともコメントのしようがない。最後まで聞いてしまったが、後味はさほど良いとはいえない。手抜きしたわけではないのだろうが…

Art Tatum plays Lover Come Back to Me (1954)

ひらめきを感じない演奏。

Ray Conniff - Lover, Come Back To Me (with lyrics)

どうしてこんなに幸せいっぱいに歌うんだ。

LOVER COME BACK TO ME ~ Patti Page

これはポップス調、多少ジャズっぽいところもある。

Lover Come Back To Me / Dinah Jams

同じダイナでも、こちらはダイナ・ワシントン。クリフォード・ブラウンがバックを務める。だいぶ塩っ辛い。

Dizzy Gillespie Stan Getz Sonny Stitt 04 Lover come back to me

曲をツマにして即興演奏が延々と続く。所詮ディジーなど縁なき衆生だ。

Lover Come Back To Me - Nat King Cole

ラテン仕立てのお気楽な演奏。

Barbra Streisand Lover, come back to me (1965)

大劇場でのライブだ。そういう曲ではないような気がする。

Brenda Lee - ♂ Lover, Come Back to Me

懐かしの60年代ポップだ。

Dorothy Collins - Lover Come Back To Me (1954)

どうでもいいことだが、客席から立ち上る煙草の煙がものすごい。いまどきの嫌煙家が見れば卒倒するだろう。