どこでスティグリッツがおかしくなってしまっているかというと、財政出動至上主義者になってしまっているからである。

なぜそうなったかは分からないでもない。彼自身が書いているように、ティーパーティーの分からず屋に頭にきてしまっているからである。あるいは南欧諸国に一切の苦しみを負わせて、ノンシャランとしているECBやIMFに対して憎しみを駆り立てているからである。

だから日本でファシズムの信奉者が財政出動をしても、「それが財政出動であるがゆえに」支持してしまうのである。
それは、機動的な財政出動を行ったゆえにナチスを支持してしまったケインズを思い起こさせる。

確かに財政出動は必要なのだが、それはQuantative な金融緩和では解決しない。そもそもサプライサイドで解決すべき問題ではないのである。

銀行では札に色は付けられない。Qualitative な緩和は政府によってしか実現させ得ない。必要なのは庶民に金が回るようなFiscal Plan であって、それ以外に「流動性の罠」を解き放つ手段はない。

そんなことはスティグリッツにわからないはずはない。現にユーロ問題では一貫してそれを強調し続けてきた。

要するに、スティグリッツはアベノミクスを論じているのではなく、ティーパーティーの連中にのさばらせておいたらアメリカが持たなくなってしまうと思って、それを強調するためにアベノミクスを引き合いに出しているだけなのだ。

彼がわかっていないことで一番重要なのは、彼の日本論は80年代までの「ジャパン・アズ・ナンバーワン」論とか「日本、良くやった」論を未だに引きずっていることだ。そして、アベノミクスがそれをぶっ壊す方向で経済再建を図ろうとしていることを理解しようとしないことだ。

他にも言いたいことはたくさんあるが、とりあえず、そのポイントだけを指摘しておく。