赤旗の法律相談から

質問の要旨

母は特養に入っています。厚労省の方針で「要介護1」の母は施設を出なければならなくなります。

母は軽い認知症です。母の財産は弟が管理していますが、弟は「母の面倒を見るのは無理だ」といいます。

私が母を引き取る場合、介護や医療の費用を出してくれるよう、弟から念書を取りたいのです。

実は、弟は母名義の土地を担保に借金をしているようです。母にどのような財産があるか弟に聞いても、怒りだして教えてくれません。

弟が合意しなかったり、お金を送ってこなかったりする場合はどうすれば。

また母の土地がどうなっているかも心配です。

(鹿児島県・P子)


弁護士さんの答え

あなたと弟さんの間で合意ができれば、「母の介護・看護に関する親族間の合意」という正式な念書を作ります。

1.母が特養ホームを退所したら、あなたが世話する

2.弟はあなたに母の介護・看護費用を送る

3.あなたは弟に対して金の使い道を報告する

というものです。

弟さんが合意しない場合、あなたがお母さんの後見人になる方法があります。

家庭裁判所に必要な書類(これが山ほどある!)を添えて申し立てます。

家庭裁判所があなたを後見人に選定すれば、あなたがお母さんの財産管理をします。お母さんの口座のある銀行に預金記録を見せてほしいと言えます。

土地については、法務局で土地の登記簿を取ります。土地の所有者が誰か、抵当権が設定されているかなどを調べることができます。


ということで、いかにもありそうな話。

問題はこの弟が悪い人間なのかどうかということだ。

鳩山元首相が母の金を使って選挙運動をやって問題になり、結局首相をやめたのだが、昔風の考えで行けば「家の金を使ってどこが悪い」ということになる。

母親は特養に入ってあとは安らかに余命を全うしてくれればよい。家督を継いだのは自分なのだから、資産の運用は自分の権利であり責任でもあるのだ。

と、弟が考えても何の不思議もない。なにせ鹿児島だ。嫁に行った姉がしゃしゃり出るような話でもない。現にこれまでは問題もなく経過してきた。

そこに特養追い出しという青天の霹靂だ。嫁さんからは「義母の世話なんてまっぴら」とダメ出しされて(かどうか知らないが)、姉に泣きつく。

姉から見れば、ずいぶんと虫のいい相談だ。本来なら、「養育義務を放棄するなら、資産も放棄せぇ!」ということになる。現に、チラチラとそういうフシもうかがえる。

そうは言っても使ってしまったものは戻らない。そこをねちねちと突つかれて、ついカッとしてしまうわけだ。


問題の解決法は、法律的にはともかく、弟が洗いざらいしゃべることだ。

母親の財産をどう運用して、それがいまどうなっているのか、

「母親の面倒を見るのが無理」という、本当の理由

この二点について本音を吐露すれば、その後の処理はずっとやりやすくなる。なにせ血を分けた兄弟・親子なのだから。


もう一つは、身に染み付いた古い「家族」の概念を捨てることだ。親の扶養は子供の義務ではない。

極論を言えば、母親の引取を拒否しても構わないのだ。なぜなら日本国民の扶養は国家の義務だからだ。(おそらく法改悪が成立しても既入所者の追い出しはできないはずだし、もしホームがそういうことをやれば違法行為となる)

特養からの追い出しは、「入所時契約の不履行」であり、「扶養責任の放棄」に相当する重大な不作為である。

これから団塊の世代が高齢化し、子供の世代はワーキング・プア化する。その中で新たな親子関係づくりが否応なしに迫られている。

それにしても罪作りな法改正だ。JR北海道への対応といい、下々をいがみ合わせて、自らの責任については頬ッかぶりという姿勢が気に食わない。