赤旗が日経新聞の「やさしい経済学」という記事に噛み付いている。

7日付の日経では、「非正規雇用の約8割という大多数が、みずから選択した本意型であることも事実 」と書いたそうだ。

これは記事を読まなくてもデマ、ないし欺瞞的手法により抽出した数字だということが分かる。記事を書いた記者の心根の卑しさがモロに現れている。

と言いつつ、どんな“事実”を元にこのような「意見」をでっち上げたのかは気になる。

赤旗によると、このネタは総務省の「労働力調査詳細集計」という資料に基づいているようだ。

そのなかに非正規雇用労働者へのアンケート調査があって、非正規雇用に衝いた理由を尋ねている。

この調査項目は7つの理由の中から、一つを「主な理由」として選択する方式になっている。その7つの「理由」の中の一つが「正規の職員・従業員の仕事がないから」というもので、これを主な理由としたものが、18.5%しかいなかったというものだ。


私の考えでは、

アンケートというのは意識調査であり、客観的に示された数字との関連で考えなければならない。正規雇用の口が求職者に比べ圧倒的に少ないのは間違いない事実だ。「正規の職員・従業員の仕事がない」のは、意識調査のそもそもの大前提だ。有効求人倍率が0.5という数字にも、我々は驚かなくなっている。(これ自体が大問題だが)

だから、非正規雇用労働者の18.5%しかみずからの境遇を不満に思っていないことこそが大問題なのだ。「いじけ」なのか「あきらめ」なのか、どっちにしても健全な社会心理ではない。日経新聞の正社員であるこの記者は、「勝ち組」のひとりとして、この数字が当然だと思っているようだが、それも想像力の鈍麻であろう。


ということで、記事に戻る。

この記事を書いた清水記者は、この質問のもう一つの内容に注目する。

この質問は多少複雑な型式になっている。まず7項目から複数回答させる。そしてそのなかの「主な理由」に二重丸を付けさせるようになっている。

そこで「主な理由」以外のすべての丸印をチェックしてみた。

すると次のことが分かった。

1.「正規の職員・従業員の仕事がないから」に丸をつけたのは25.1%となった。

2.男性のみで限ると38.1%となった。

3.さらに男性群を年齢別ににると、25~35歳で58.9%、35~45歳で61.5%、45~55歳で59.6%となった。


此処から先は清水記者ではなく私の感想

ジェンダーの人にはあまり聞かれたくないが、主婦でちょっとパートという人たちを混ぜることで、ことの深刻さを覆い隠そうとしているとしか思えない。

日経の記者の方へお願いしたいが、あなたと同年代の、かつては同級生だった人たちが、正規の職につけなかったら、あるいは正規の職を失ったらどういう気分になるのか、ちょっとは想像力を働かせてほしいと思う。

そうすれば「非正規雇用の約8割という大多数が、みずから選択した本意型であることも事実 」などというセリフはとても吐けないはずだ。