第9節は、「国際経済秩序」の問題だ。この言葉はこれまで先進国と途上国との関係で用いられてきた。

秩序ある貿易、開発、投資の課題、民衆の生活の向上、持続的に発展しうる諸国間の関係などが内容である。ただその内容は漠然としており、どちらかと言うと掛け声みたいなところがあった。

(私としてはITOの理念の復活を主張したい。たしかにこれは植民地が相次いで独立する以前のものではあるが、二つの大戦を経て平和と発展と生活向上の課題が一体のものとして力強く宣言されたものである)

今回の決議案は、従来の「国産経済秩序」という基本線は踏まえつつ、それとは別に、先進国における経済秩序の問題を取り上げている。「多国籍企業栄えて国滅ぶ」という事態に対し、「多国籍化した大企業への規制」を緊急の課題としてあげたのがそれだ。

①投機マネーへの規制(金融取引税)、②租税回避への規制(タックスヘイブン)、③法人税の引き下げ競争の規制(導管国)、④人件費引き下げ競争の規制 である。

これ自体は共産党としては大変斬新な、踏み込んだ提起だ。

かつて80年代、90年代はIMF・世銀による世界支配が最大の問題とされていた。いわゆる南北問題である。

これが、わずか20年後の現在では先進国の内部分裂(国家対超巨大企業、国際投機資本)の問題に転化しつつある。いわば資本主義が自壊現象の兆候を示しているともいえる。この変化をしっかり捉える必要がある。

変化の理由の一つは、先進国の「金余り」現象である。日本における大企業の巨大な内部留保もそうだが、既存の資本主義システムで金が回らなくなっている、あるいは金が回せなくなっている。

生産に消費が追いつかないために、お金が設備投資や再生産に回らない。お金が世の中に回らずに死蔵されれば、フローが減少する。

人々は宝の山の上でお金をもとめて奔走する。だから各国中銀はフローを維持するために量的緩和に走らざるを得なくなる。

この資金は生活に費消される資金ではない。資本として自己増殖を運命づけられた資金である。だから紆余曲折はあっても、いずれ途上国に流出してゆかざるをえない。

(途上国の人を自国内に呼び寄せるという手段もあるが、政治的にはきわめて危険な手法である)

20世紀初頭に出現した「不均等発展」の現象が形を変えてふたたび現れている。加害者であった先進国が内部から壊死状態に陥りつつある。これを救うためには上記の4点を実行するほかない。だが、出来るのだろうか。

その鍵は日本が握っているかもしれない。