国際情勢の分析は正直、ちょっともの足りないところがある。底流を流れる歴史の力との関連が浮きだしてこないので、叙述が平板で羅列的になってしまう。

たとえば第6節、軍事的覇権主義への固執と、外交交渉による国際問題の解決の二つの側面を持っているという記述がある。それ自体は正しいのだが、なぜ二つの側面を持つのかが分析されない。

外交が話し合いと武力という2つの側面を持つのは当たり前の話である。

今日的な「二つの側面」を持つにはそれなりの経過があっだはずで、その今日的特徴、いわば「アメリカ帝国主義論 2013年版」が語られないと文章が生きてこない。

アーミテージという謎の人物がいる。共和党政権では羽振りを利かせたが、今はただのロビイストだという評価になっている。ところが彼の名の冠せられたリポートは、未だに日本では聖書のごとく崇め奉られている。安倍政権が96条改憲に前のめりになった時に、これに歯止めをかけ「解釈改憲で集団的自衛権の実現を目指せ」と意見したのもアーミテージだった。

在日・在韓米軍を統括するハワイの太平洋軍司令官は、明確に安倍首相の好戦姿勢を批判した。軍の現場は参謀本部レベルまでふくめ、太平洋で波風を立てたくないのである。とくに対中国関係でそうだ。しかしプレゼンスは維持したい。そこて一番の波風が日本の集団的自衛権問題ということになる。

「二つの側面」という時には、その矛盾はいかにもたらされ、いかに解決されるのか言及されるべきだろうと思う。


もう一つ、今回の決議案で語られなかった大きな問題がある。中国の評価である。
胡錦濤から習近平体制への変化があり、それがどのような方向性を打ち出すのかがわからないと、軽々に評価はできない。
ただいずれこの問題は態度表明がもとめられる。それをしないでアセアンばかりを重視していると、中国包囲網を形成しようとしているとすら受け止められかねない。

それなりに中国をウォッチしてきて、私は習近平体制に非常に注目してる。日本の財界が胡錦濤体制の終焉を非常に残念がって、習近平に警戒心をあらわにしているのと正反対である。

とくに石油産業トップへの粛清は衝撃だった。彼らこそが軍部と結びついた膨張主義の最大の震源地だと考えていたからである。

まだ最近の中央委員会の関連記事は読んでいないが、ウォール・ストリート・ジャーナルがさんざんこき下ろしているという話を聞いて、これは結構いい会議になったのではないかと期待している。