赤字続きの経営には共通した特徴がある。職員・社員の赤字慣れである。

日本航空の再建の時、日航に乗り込んだ京セラの社長は「経営第一」と呼号した。労働者は一斉に反発した。しかし私は密かに頷いた。経営第一というの は決して安全第二とか安全軽視というのではない。一つには経営がなくなれば安全など吹っ飛んでしまうことだ。会社があるからこそ安全が必要になるのだ。

もう一つは、安全を守るという課題も、経営を守るためということで一本ピーンと筋が入るからだ。「経営を守る」ということで労使が共通の価値観に立 ち、職場のモラルが向上することだ。研究開発の問題も安全の問題も労働条件の問題も顧客サービスの問題も、いろんな切り口で考えうる。それ自体は短期的に は利益を生まないからだ。それを経営を守るという価値観で一致させることで整序していくことは、きわめて大事なことだと思う。

以前、あるリハビリ専門病院があって、当時の診療報酬体系もあって赤字続きだった。毎年赤字が膨らんでいくので、調べてみたら、交通費が異常に高 かった。病院に来られない患者のためにリハ技師が往診診療していた。技師は往復タクシーを利用してタクシー代は病院の持ち出しだった。

リハ技師は「これこそが患者の立場に立った良い医療だ」と胸を張っていたという。

あえていう。経営を守ることなくして安全を守ることはできない。だからこそ、今回の事故を招いた主犯として、国を断罪せざるをえないのだ。