「循環型社会基本法下の廃棄物問題の背景と解決への展望」という北大の吉田教授の論文が面白いので紹介する。
ただしかなり以前の論文なので、数字は10年以上のものである。

1.1日7万台の携帯電話が廃棄されている

携帯電話業界の激しい競争の結果、1日7万台の携帯電話が廃棄されている。これは携帯電話が壊れるとか使えなくなるというのではなく、社会的に陳腐化さるためである。

政府の環境保全計画でも何とかしなくてはと言われているが、この経済システムがどのように成り立っているかは、本格的に分析されていない

2.大量流通消費は大量廃棄なしにありえない

これまで、現代社会は大量生産・大量消費社会と呼ばれていたが、実は大量生産・大量廃棄社会である。例えば、パッケージは重要な販売手段だが、それは消費されるのではなく、最初から廃棄される事が前提である。

3.働きすぎと浪費の悪循環

消費社会では、「所得を増やすか、余暇を増やすか」の選択において、所得を増やすことが選択された。

電化製品は骨の折れる、また体力を要する家事労働を解消し、利便性を増した。それでいて人々の幸福感は満たされない。広告と製品差別化、計画的陳腐化、「機能の過剰化」よって、たえず欲望が刺激されるからだ。

消費のための所得を得るために労働時間が延長する、という悪循環をどこかで断ち切らなければ問題は解決されない。すなわち社会的解決(social fix)が必要である。

4.焼却依存の問題

日本の一般廃棄物焼却率は7割に及ぶ。これは廃棄物問題への一種の技術的対応であり、廃棄物抑制への社会的な取り組みを遅らせた。さらにダイオキシン類発生という対価を伴った。

5.「リサイクル至上主義」の問題点

「3R」、すなわち①reduction:削減、②reuse:再利用、③recycle:リサイクルが、この順位にしたがって重要な方法である。

循環型社会形成推進基本法では、その後に④熱回収(焼却) ⑤適正処分を付け加えている。

しかし現実には①、②は軽視され、③か④かという不毛の選択が迫られている。

廃棄物処理の全体系から見れば、リサイクルの本来の目的は、廃棄物の減量化、資源の節約、エネルギーの節約である。

リサイクルのみを進めても、リサイクルにともなう汚染や、かえって資源利用が増大する等の問題が生じる。

さらに重要なことは、リサイクルシステムが大量生産・大量消費を抑えることにはつながらず、「大量リサイクル」になりかねないということである。

リサイクル至上主義におちいらず、あくまでも廃棄物削減の一環として位置づける必要がある。

6.プラごみ、自治体に重い負担

1997年に施行された「容器包装リサイクル」法は、一般廃棄物の約半分を占める容器包装廃棄物のリサイクルを目指すものであった。しかしこの法律はさまざまな問題を抱えている。

一番の問題は、自治体の費用負担が予想以上に大きいことである。

PETボトルの1本当たり約25-30円の収集経費は税金から支払われる。いっぽう容器メーカー等に義務付けられるリサイクル費用は1トン10万円で1本(10グラム)当たり1円にしかならない。また分別収集量と再商品化量が乖離し、保管に係る市町村の負担が増大している

ドイツではガラスに比べプラスチックは、約20倍のコストを事業者が支払うことになっている。

容器包装リサイクル法は循環型社会をささえる基本法にはならない。本当の意味での「拡大生産者責任」の貫徹が求められる。

後略