共産党のブラック企業規制法案

正直いって、この手の文章は苦手で、つい飛ばしてしまうことも多い。一応目を通しておく。

まず提案理由であるが、

1.若者を使い潰すことは「許せない!」という至極単純なもの

2.放置すれば日本事態に深刻な影響を及ぼす。これは「悪貨が良貨を駆逐する」の論理かな

と、まぁ“雇用のヨーコ”レベルの単純明快なもの。

法案の柱は三つある。

1.長時間労働を制限するための仕組み

2.ブラック企業がブラックであることを周知させる仕組み

3.職場でのパワハラの防止策

同時にブラック企業の根っこにある「非正規」枠の拡大政策をやめさせることを訴えている。

と、ここまでは特に目新しい物はない。

しかし具体策に入ると、その新鮮さは眼を見張るものがある。現場の若者の創意があちこちに散りばめられている。


1.まず長時間労働を制限するための仕組み

A) 労働時間台帳づくり

勤務時間の一覧表を作り公開する。これはタイムカード記録をエクセルで表にすれば、明日からでもできる。

このために労働基準法の第108条を改正する。

B) サービス残業がバレたら残業代を2倍にする

これはそもそも違法行為だが、有効な罰則規定がないために野放しになっている。

もちろんきちっとした罰則規定を設けることが主眼ではあるが、通常1.3倍の残業代を2倍にして払わせる、ということだ。

このために労働時間等の設定の改善に関する特別措置法を改正する。

C) 労働時間は総量だけでなく連続勤務も制限する

年間総残業時間を360時間にする(これはなかなか難しい)、同時に7日ごとに1日の法定休日を保障する。

現場では総残業時間よりも連続勤務のほうが問題視されていることの反映でしょう。

D) 連続11時間の休息時間を保障する

これは勤務明け以後に最低11時間の「休息時間」を保障するということだ。家に帰って一眠りするのに、これだけは最低限必要だということだ。

2.ブラック企業がブラックであることを周知させる仕組み 

これはまったくユニークな政策だ。「ブラック企業ににお仕置きよ」の世界だ。

そもそもブラック企業なる考えが最近のものであるし、ましてやその規制は手つかずの状態にある。それを現場目線で規制していこうというものだ。

A) 離職者数を公表する

意表をつくブラック企業の“定義”だが、これが有効らしい。

ブラック企業は若者を「正社員」として雇う。いまどき「正社員」の肩書はまばゆいばかりの光を放っている。

「提案」ではこう書いている。

ブラック企業の特徴の一つは大量採用・大量離職です。…ブラック企業が成り立つのは、「正社員で募集すれば、いくらでも人は集まる」という労働市場になっているからです。

働いている人は「やめたら正社員での再就職はできない」という恐怖感から、連日、深夜になるまでの長時間労働にも、パワハラやイジメにも耐え、しがみつかざるをえない状況に追い込まれていきます。

にもかかわらず、肉体的・精神的に耐えかねて離職するものが後を絶たないというのが、ブラック企業たる所以だ。

したがって、就活時の会社案内に「ブラック企業」と書く必要はない。新規採用者数と退職者数を公表させれば良いということになる。現場ならではの発想だ。

B) ハローワークに求職者の問い合わせに対応するシステムをつくる

就職を検討している会社がブラック企業に該当するかどうかをハローワークに問い合わせたら、それに応える仕組みだそうだ。これは正直どうだろう。また厚労省がブラック企業の手口を周知・啓蒙するとしているが、「おれおれ詐欺」と違って明白な犯罪行為ではないから、なかなか限界がありそうだ。

C) 誇大広告・虚偽記載をやめさせる

これは求人広告のフォーマットを規格化する、ということだろうが、罰則規定がないと有効なツールとはなりにくいのではないか。

3.パワハラをやめさせる

これはなかなか法律に馴染みにくいところがあって、実際にはいじめている方も一種の被害者であることが多い。

提案は「やめさせます、取り締まります、指導します」の努力目標のオンパレードだ。最終的には企業名の公表という手段が残されているが、実効性には乏しい。

まぁ、ここは本丸ではないということだろう。

共産党はすべての会派に賛同を呼びかけ、国民的な議論を起こすという。

法案そのものが通る見通しは薄いが、「新規採用者数と退職者数を公表させる」という一点はかなり頑張って押し込んでみたいところだ。