このへんの文献を探していたら下記の文章にあたった。わかりやすく整理されているので紹介する。

2013-10-14

朝鮮学校に対する在特会のヘイトスピーチに対する京都地裁判決~人種差別撤廃条約の国内法的効力に関して -梁英哲弁護士のブログ
http://lawyer.hatenablog.com/

以下は要約です。

この判決は私人間で民法の適用が争われた事件のものですが、人種差別撤廃条約の解釈が判決理由で展開されているのがわかりにくと質問された点です。判決の中に条約や民法が出てくるのでその相互関係がわかりにくいということです。

身近な例で行くと、刑法は公法、民法は私法です。在特会の裁判で考えると、朝鮮学校と在特会という私人同士が民法の適用について争われた裁判なので、罰せられるか罰せられないかという刑法とは直接的には無関係です。

現行の日本の法制度での法律間の優劣関係で言うと、憲法>条約>法律です。裁判所が法律解釈をするときに上位にあるルールである憲法や条約と矛盾しない解釈をする義務があります。

憲法は国民が国家を拘束するルールです。但し、間接適用という形で民法を介して私人間に適用されるという例外もあります。

京都地裁の判決は締約国の国家機関である裁判所も条約に拘束されるとしたのです。その上で在特会のヘイトスピーチが人種差別撤廃条約が禁止する人種差別にあたるかどうかの解釈もしているわけです。

その結果として、京都地裁の判決論理に従えば、民法だけを適用するよりは人種差別撤廃条約の人種差別にあたるという理由で、高額の賠償認定をしています。この意味で、条約の解釈をしなかった場合と比べて相対的に、在特会側に不利な判決が出たと言えます。

判決理由には明示されていませんが、民法709条を通じて間接的に条約を適用したのではないかと見られなくもない気がします。

このあたりが京都地裁判決文を読んでいてすっきりとしない点ではありますが、今後出るだろうと思われる学者の先生の判例評釈などに期待したいところです。


ということで、弁護士先生でも良くわからないというのだから、私が分からなくても当然だということが分かった。

その上で、梁さんのひとつの解釈としては、

1.憲法には間接適用という形で民法を介して私人間に適用されることもある。(ただしこれは例外である)

2.その根拠は憲法が民法より上位にあるということである。とすれば、国際条約も同じく民法の上にあるので、民法(特に民法709条「不法行為」)を介して私人間に適用しうる。

3.ヘイトスピーチは人種差別撤廃条約で禁止された行為に該当する。したがって民法を介して禁止を強制することも可能である。(例外的に)

4.いわゆる迷惑行為に愛する罰金を科すに当たり、その行為が条約上の禁止行為であれば、それを勘案して罰金を加重しうる。

という組み立てになるのでしょうか。

裁判長はかなり野心を抱いてこの判決を作成したのだろうと思います。

原告側に有利な判決を出すことについては反対の意見は出ないだろう。であれば有効な禁止能力を持つ論理を挟み込んでも、世間に受容される可能性は高いだろう。
当然、上告されるであろうし最高裁まで行く可能性もある。とすれば判例として確定されていくかもしれない。

いずれにせよ、画期的であるという側面と荒削りな側面が同居していることは間違いなさそうです。