共同通信の配信記事を柱に、各紙の報道を加え、時系列で列挙する。

1.在特会が朝鮮学校の周辺で「朝鮮学校を日本からたたき出せ」「スパイの子どもは朝鮮半島に帰れ」などと拡声器で連呼して授業を妨害した。在特会は一連の行動を動画で撮影し、インターネットで公開した。

やり方が「はだしのゲン」の松江教育委員会と似ていると思ったら。被告は同一人だった。この西村という人物は、制限撤回後もふたたび市教委に押しかけているという(毎日新聞)

2.京都朝鮮学園は差別的な発言として訴えた。そして学校周辺での街宣禁止や3千万円の損害賠償を求めた。

①国際人権規約で保障された民族教育権の侵害、②ヘイトスピーチ(民族的出自を理由にした差別)であることで不法と訴えている。(毎日新聞)

3.在特会は、学校が市管理の公園に無許可で朝礼台などを設置したことへの反対活動とし、「表現の自由」を主張した。

街宣については、「表現の自由」の範囲内で「保護される論評」と主張した(毎日新聞)

4.判決は、学校の半径200メートルでの街宣禁止と約1200万円の賠償を命じた。

5.判決理由は

(日本も批准する)人種差別撤廃条約で禁止した人種差別に当たり、違法だ。

示威活動によって児童らを怖がらせ、通常の授業を困難にし、平穏な教育事業をする環境を損ない、名誉を毀損した。

原告側は一連の発言を「ヘイトスピーチ」と主張していたが、判決は触れなかった。

(この記述は変だ。ヘイトスピーチの考えは事実上認められている。しかしヘイトスピーチはヨーロッパでは犯罪を構成する概念として確立しており、今回はそのままの形では受け入れられなかったということである)

6.判決への反応

原告側弁護団は、ヘイトスピーチによる被害の悪質性を強く訴えており、「主張が実質的に認められたと考えられる。同種のヘイトスピーチに対する抑止となる画期的判決」と評価している。

在特会側は判決後、「われわれの行為が正当と認められず、残念。判決文を精査してどう対応するか検討する」と話した。

(原告側談話は京都新聞から、在特会談話は産経から。面白いことに京都新聞は原告側のみ、産経は被告側のみ、共同は両方とも伝えていない)

7.判決の影響

毎日新聞が非常に詳しいレビューを掲載している

①欧州を中心に多くの国が犯罪としている『ヘイトスピーチ』と判断すれば、ヘイトスピーチ禁止法創設議論が勢いづく可能性がある。
ドイツでは1960年にネオナチ運動に対処するため「民衆扇動罪」が設定されている。また人種差別撤廃条約を背景に各国が規制に乗り出している。(原告側弁護士談)

(ワタシ個人としては、「民衆煽動罪」という名前での立法化は、とうてい賛成出来ない。人種差別撤廃条約の精神に寄り添った法律化が望まれる)

②国際人権規約の「民族教育権」が認められれば、朝鮮学校を高校無償化の対象外とする政府の対応の正当性が問われる。

(この点も、議論の正否はともかくとして、問題を拡散させるものだと思う)


菅義偉官房長官は京都地裁判決に関し、ヘイトスピーチについて「極めて憂慮すべきものがある。関係機関で法令に基づいて適切に対応していくことが大事だ」と述べ、対応を強化する考えを示した。

あの産経もついに在特会非難の社説を掲載した。公安関係者には気の毒だが、ヘイトスピーチの抑えこみはあと一歩の所まで来ているようだ。