「導管国」って?
「導管国」をめぐる問題 その1
「導管国」をめぐる問題 その2
「導管国」をめぐる問題 その3
「導管国」をめぐる問題 その4

第5章 オランダの隙間戦略

オランダの導管戦略の経過

オランダはみずから資本フロー導管国となる道を選択した国である。歴史的に国際貿易・外国投資が重要な役割を占め、最大の産業は金融・流通を中心とするサービス産業である。

「持株会社」を誘致するための税制により、世界市場における隙間戦略を展開し、多国籍企業の租税回避の「導管国」としての評価を確立した。

1970年代に多国籍企業のグループ金融会社の為替規制の自由化を行い、いわゆるmailbox companies を作ることを認めた。

1983 年にはオランダ中央銀行が「特別金融機関」(脱税のためのトンネル会社)の登録を開始した。

カリブ海の旧オランダ領アンティルスを利用した「オランダ領アンティルス・ルート」が盛んに売り込まれた。アンティルス法人のオランダ源泉徴収税はほぼゼロまで軽減された。

もちろんアンティルスはゼロ税率のピュア・タックス・ヘイブンである。(2010 年10 月10 日に解消)

これを利用した租税回避スキームは「ダッチ・サンドイッチ」あるいは「アンティルス・ルート」と呼ばれた。

このルートは欧米からの出口ルートとして広く利用されるようになった。多数の大企業がオランダにヨーロッパ統括会社やグローバル統括会社その他の持株会社を設立するようになった。

第6章 オランダの法人税制の特色

この節は面倒なので省略する。まとめのところだけ。

・利子および使用料については源泉徴収税を課さない

・オランダに籍をおく親会社が外国子会社から受け取るすべての利益は、オランダでは免税となる。

・オランダにおいて短期的に雇用される外国人には免税報酬制度が適用される。

第7章 オランダを導管国とする仕組み

オランダは居住法人に25.5%の税率で全世界所得課税を課している。これでは何の面白みもない。しかし多国籍企業のグループ内部取引にオランダ籍の会社を設立すると、俄然話が変わってくる。

多国籍企業は外国子会社の所得を無税でオランダに持ち込み、これをピュア・タックス・ヘイブンの子会社に無税でチャンネルすることが可能になる。

この「ゼロタックス・スキーム」を可能にするのが、税法体系上の (i)グループ税制、(ii)参加免税、(iii)利子・使用料の非課税、(iv)投資所得に対する源泉徴収税の不適用、(v)租税条約網などの免税・非課税措置群である。

統括会社はペーパー・カンパニーっでなく企業活動の実体を持つことがもとめられる。それなりのテラ銭は払えというわけである。

とはいっても、統括事業の8割は信託事務所が代理している。主たる機能は、オランダの法的主体にこれに「住所」を与え、法的な実体を与え、「経営管理」機能を果たしている。

オランダが導管国となるメリットとデメリット

メリット

(i) 約2万のmailbox companiesにより金融専門家、会計士および法務・税務助言者の専門職が増え、雇用機会の創出に役立つ。

(ii) mailbox companiesからの税収の確保につながる。「利子」の一部がオランダに残る。2001 年統計では12億ユーロが税収として、5 億ユーロが会社の管理費としてオランダに落ちている。

(iii) アムステルダムの「金融センター」としての地位を高める。アムステルダム証券取引所は世界最古の証券取引所である。

(iv) 主たるグループ活動(生産、研究開発および貿易)のオランダへの誘致を刺激する。

デメリット

(i) mailbox companiesの設立を促進することは、多数のダーティ・ビジネスを引き付ける

(ii) 多国籍企業の公害、破産または詐欺に係る訴訟はオランダで行われ、司法コストとなる。

(iii) 利益隠しのシステムは、あらゆる種類の違法活動収益の洗浄を隠す。

第8章 オランダが人気のある理由

第7章で挙げた(i)グループ税制、(ii)参加免税、(iii)利子・使用料の非課税、(iv)投資所得に対する源泉徴収税の不適用、(v)租税条約網などの免税・非課税措置群のうち、参加免税と租税条約網について詳説している。

省略する。