「導管国」って?
「導管国」をめぐる問題 その1
「導管国」をめぐる問題 その2
「導管国」をめぐる問題 その3
「導管国」をめぐる問題 その4

第4章 最近の多国籍企業のグローバル実効税率引下げスキーム

大変長い題名だが、要は多国籍企業の“脱税”の最近の手口ということだ。面倒なので「」をつけないで脱税と書くことにする。

1. 脱税への欲望

多国籍企業の本籍地は先進国だ。先進国は一般に税が高い。途上国が企業を誘致するために税金を安くするからだ。

最近、先進国では国外所得免除でなく全世界所得課税原則を採用している。外国税については控除により救済されるが、国外所得に対して自国の高税率を適用される。

したがって多国籍企業は税負担を最小化するために、税法の抜け穴を探し求めることになる。これをタックス・スキームという。(税の裏ワザというべきだろう)

A 高税率の国内源泉所得に該当すべき所得をタックス・ヘイブンに隠す  「領土主義課税原則」の抜け穴

前の章でも述べたように、「領土主義課税原則」においては、税金の安い国に支店でなく子会社を作れば税金はかからない。海外利益を集中するだけではなく、国内利益もさまざまな方法により移転可能である。

「税金の安い国」と言っても税金はかかる。タックス・ヘイヴンならほとんどただである。どうせならそちらにカネを集中したほうが良い。

しかし外国子会社をタックス・ヘイブンに設立する場合、タックス・ヘイブン対策税制が適用される可能性がある。そうすると合算課税が行われ、かえって高く付く。これを避けるためには、タックス・ヘイブン以外の国に子会社Aを設立し、そこからタックス・ヘイブンに設立した別法人Bへ所得移転を行えばよい。

B ステップ国を経由することで、外国子会社の高税率の適用を避ける

「税金の安い国」と言っても税金はかかる。できれば下げたい。そこで「課税ベース」の縮小を図ったり、種々の租税優遇措置の減免を受ける。名目は支払利子・支払使用料・支払リース料・支払報酬などなんでも良い。

これらの便宜を積極的に提供してくれる国がある。損金控除を容易に認容してくれるので、タックス・ヘイブンへの所得移転のためのステッピング・ストーンとして役立つ。このためこれらの国に、持株会社Cを設立することになる。

利益は進出先の国の事業会社A社から、便宜国の持株会社C社に移り、そこからタックス・ヘイヴンのB社へと移転することになる。これで多国籍企業の本社のある国は手も足も出ない状況に陥る。

C ステップ国の手口

ステップ国の税制上の特徴は、受け取る所得に課税しないこと(ストップ・オーバー)、その所得をピュア・タックス・ヘイブンへ無税で移転できることである。

この二つが可能な国がアイルランド、ストップ・オーバーが可能な国としてオランダが上げられ、この2カ国を利用する手口を「ダブル・アイリッシュ&ダッチ・サンドイッチ・スキーム」と呼ぶ。最近では持株会社の立地条件を整備している英国の法人税改革の動きが目立っている。

このうち、国際的タックス・プランニングの一典型であるオランダに焦点を当て、わが国のタックス・ヘイブン対策税制で挑戦することができるかどうかについて考察する。