「導管国」って?
「導管国」をめぐる問題 その1
「導管国」をめぐる問題 その2
「導管国」をめぐる問題 その3
「導管国」をめぐる問題 その4

ということで、ここまでが長い「はじめに」だ。ここから本文に入る。

第1章 タックス・ヘイブン対策税制の変遷

(はじめの部分省略)

A 1978年特別法と外国法人への課税

わが国の税法では、内国法人については海外支店もふくめ課税している。しかし外国法人(子会社)については国内所得のみに課税している。

したがって外国子会社がタックス・ヘブンに所得を移転しても、それに課税することはできない。

これに対し特別法が導入された。

この特別法は外国法人の収入を、形式的には特定外国会社の所得であるが、実質的には親会社の収入とみなして課税するという論理になる。

この法律の有効性は最高裁で確認された。

これによりタックス・ヘイブン子会社(特定外国子会社)の課税対象金額を、株主である内国法人の擬制収益・擬制配当として課税できるようになった。

B 外国子会社配当益金の不算入制度

2009年の税制改正で、「外国子会社の配当益金不算入制度」が導入された。これは日本企業の国外所得を日本に還流させるための環境整備の一環である。

名前からしてえらく面倒くさい制度だが、中身はそれ以上に面倒だ。原文をそのまま書き写す。

内国法人が外国子会社から受ける剰余金の配当等の額からその剰余金等の配当等の額に相当する額(剰余金の配当等の5%相当額)を控除した金額を益金不算入とすることができる

分かりますか?

結論からいうと、

この税制改正により外国子会社からの配当は実質非課税となった。特定外国子会社にも制度が適用されることになった。

ということだそうだ。

要するに、「タックス・ヘイヴンに貯めておいたら税金とるけど、国内に戻すなら税金ただにしますよ」、ということだ。

企業にとっては実に至れり尽くせりだが、変な話だ。タックス・ヘイヴンの隠し金への課税をもっと厳しくすれば済む話ではないか。

著者も、この「不算入制度」を婉曲に批判している。

外国子会社配当を非課税とした結果、外国子会社の利益留保も課税繰延に該当しなくなった。(1978年の)タックス・ヘイブン対策税制は、課税繰延を利用した租税回避の防止で (あったはずなのに、非課税にしてしまったら)説明することができなくなる のではないか。

タックス・ヘイブン対策税制の趣旨が変質したと解する説もみられる

それで税務当局の目下の苦し紛れの言い分はこういうことだ。

わが国企業が国際競争力を維持するため実効税率の引下げのためにタックス・ヘイブンを利用する健全な企業活動を阻害せず、租税回避のみのためにタックス・ヘイブンを利用する行為計算を否認する

そう言っている本人の苦虫を噛み潰したような顔が思い浮かばれる。


第2章、第3章は技術的な問題についての説明なので、省略し、第4章 「最近の多国籍企業のグローバル実効税率引下げスキーム」に移る。