著作権がよく分からなくて、ネットで少し調べてみた。

ウィキペディアはさっぱり分からない。知的財産権とか知的所有権の一部だということになっているが、言われりゃそうかもしれないが、小説や音楽の世界と、製品特許やノウハウの世界とは別物だと思う。きちっと住み分けしないと、かえって問題を混乱させるのではないだろうか。

疑問は二つある。

一つは、本人に属する権利なのになぜ子や孫まで権利を享受するのかということ。

二つ目は、著作権というのはそもそも所有権なのかということ。

たしかに著作権を持っていれば、打出の小槌みたいなもので、何の苦労もせずに金が転がりこんでくる。一種の錬金術のマシーンみたいなものだ。しかしそれは本質的に属人的なもので、売り買いできないのではないのか? 子孫は相続税を払っているのか?

などと、それに付随していろいろな疑問が湧いてくる。

とにかく70年に延長せよという人の論理がよくわからない。ネットで探してみたが、それらしい文献はほとんどない。

著作権保護期間延長を擁護してみる 白田 秀彰とロージナ茶会

というページがあったので、とりあえず読んでみた。白田さんという人は法政大学の先生で、著作権保護期間の延長には反対の人のようだ。しかし推進派の言い分を紹介してくれているので、以下にノートする。


(社)日本音楽著作権協会
 文化芸術の担い手である創作者の権利を保護し、新たな創造を促進すべきである。
 「知的財産戦略の推進」を国策としている我が国は、著作権保護のあり方について国際間の調和を図るべきである。
 我が国のコンテンツ創造サイクルの活性化と国際競争力の向上を図るべきである。
 以上の点から、著作権の保護期間を欧米と同等の「死後70年」に延長すべきである。

ということで、インセンティブの保障と、国際間の調和の二つであり、3点目は白田さんもいう通り、「そうなったらどうしよう」という不安へのコメントであり、論拠にはなっていない。

TPPで農業が崩壊するという不安に対して、「創造的に努力して国際競争力を強化すべきである」というのと似ていなくもない。

ただ子孫まで70年にわたって生活を保証してやることが、芸術家にとってどれほどのインセンティブになるのかが、この文章からは分からない。子孫まで生活を保証しようというくらい堅気の人が芸術家になるわけはないし、立派な芸術を創造できるとも思えない。

結局、保護期間延長のポジティブな根拠はなにもないのである。いわば「世界の趨勢がそうなっているから仕方ないだろう」というのが唯一の根拠だ。これもTPPの論理とそっくりだ。

それで、世界の趨勢だが、たしかに保護期間延長の方向に議論は進んでいる。では世界ではJASRACとは別の論理で議論されているのだろうか。

白田さんの文章にはそこのところは言論的にしか触れられていない。

ただオモシロイと思ったのは、著作権というのは所有権ではなくて、排他的な独占権だという指摘だ。まぁこれは著作権にかぎらず特許とか知財権一般について言えることだが。

他の人に出版・販売させないよという権利であり、階級性があるということになる。芸術家が弱者である限り大手の出版社に対する防壁となる。しかし創作者が同時に強者(たとえばディズニー)である場合は、“不当な”利益をむさぼる根拠となる。

その辺の線引は難しいが、やはりその人の死をもって著作権を消滅させるのが一番妥当なような気がする。

実際には出版は事業として営まれており、出版社ないしエージェントの利害が絡んでくるのだが、それはカラスの勝手という以外にない。もし必要なら、再販禁止法とか別途考えるべきだ。