世界にはかなり熱烈なチェリビダッケ・フアンがいるらしく、YouTubeにはたくさんの音源がアップされている。
しかしそのほとんどが演奏会のテレビ放送をアップしたもので、音質はほぼ例外なく劣悪だ。
したがって、これまではチェリビダッケの演奏は名前を聞いただけで避けてきた。
今回たまたまモーツァルトの40番を聴いてみて、まず音質の良さにびっくりした。楽章の合間に咳払いが入るので、ライブであろうが、音は十分にシャープで、細かいところまでよく聞こえる。
この人ががっちりした音を構築していく人であることが分かった。音の塗り重ね具合がとてもいい。一音一音がだいじにされていると思う。オケもうまい。
「疾走する悲しみ」はとても味わえないし、いささか間が抜けていて、細かいところでつける味付けもあまりいい趣味とは思えないが…

むかし聞いたワルター指揮コロンビア交響楽団の演奏が、驚異的な高音質で聴ける。ファゴットの音がこんなに聞こえるなんて。
残念なことにに音が良くなっただけ楽団の水準も見えてしまう。いい演奏なんですよ、それは間違いなく…

50年にワルターがベルリン・フィルを振った音源があって、まったく別人だ。第2楽章が出色で、モノーラルなのに音がよほど立体的だ。第4楽章はまさに疾走する。
ワルターというより、ベルリン・フィルがすごいというべきかも。ワルターが結構脂っこい指揮者であったことも分かる。

セルのセヴェランス・ホールでの定期演奏会がエアチェックされていて、その一部がYouTubeで聴ける。残念ながら音質はひどい。しかしそのなかで40番(1970年)は比較的良い音質だ。演奏は最晩年のセルらしく圧倒的だ。いつもながら木管のカクテル・サウンドがすごい。