安倍首相の「コントロール発言」は憶えておいた方がいい

9月7日に安倍首相が IOC総会で行った原発発言は、思わず耳を疑うものだった。

お互い健忘症の気味があるので、しっかりメモしておいたほうが良い。この言葉にウソがあったら、我々はオリンピックを返上しなければならなくなる。

1.状況はコントロールされている。

2.健康問題については、今も将来もまったく問題ない。

3.すでに、わたしが責任をもって抜本的解決のプログラムを決定した。

とし、「コントロール」の技術的内容として、

汚染水は港湾内0.3平方キロの範囲内で完全にブロックされている

と断言した。


この3つとも、控えめに見て不正確、きつく言えば嘘っぱちだ。

1.水素爆発やメルトダウンの可能性は今のところ低いが、ゼロとはいえない。汚染水はまったくコントロールされていない。

2.A 健康問題は、住民が避難生活を続ける限り、今のところ深刻な問題ではない。しかし内部被曝による遅発性障害の危険は除去されたとはいえない。

B 事故処理に当たる作業員の被曝の可能性は依然高いままである。

C 汚染地域に将来とも人間が住む可能性が否定されている。

3.たしかに政府は責任を持つと言明したが、その内容は明らかではない

A これまで東電任せにしてきたのが、やっと政府が出てきたに過ぎず、それは事態の深刻さの表現でしかない。

とくに最後のIOC委員の質問に対する答え「0.3平方キロ」の数字は、かぎりなく虚偽に近い。一国の首相としてこのような数字を示すのは致命的となる可能性がある。

実際に汚染水はブロックはされていないし、そもそもブロックしていない。完全もヘチマもない。

外国のメディアは甘くはない。ディナーにお呼ばれもしていない。

汚染水が0.3キロを越えて確認されれば、「完全なブロック」が事実でないことがはっきりすれば(いずれはっきりするだろうが)、安倍首相と日本政府は世界中から嘘つき呼ばわりされることになる。東京五輪は「嘘つき五輪」と呼ばれるようになる。

共産党は書記局長談話を発表している。

国際的な場で述べた以上、それは国際公約になる。

“問題ない”というなら、その根拠を国際的にも、国民と国会の前にも明らかにして、責任を果たす必要がある。

たしかにそれが明らかにされるなら、オリンピックが決まったことよりもはるかに嬉しいニュースだ。