タニア・マリアはUSで活躍するブラジル人歌手である。
もとはジャズ・ピアニストでいつの間にか歌のほうが有名になったという感じである。
差別ではないがすごい迫力顔をしたおばさんで、淡谷のり子も真っ青だ。
全曲ほとんどスキャットで通す。歌うときはポルトガル語である。
かなりのフアンがいるようだが、ジャズ畑の延長で聞かれているようである。
私のようなボサノバ畑の人間にとっては、ジャズもやるブラジル人だ。ただミルトン・ナシメントとかジャヴァンとかがアメリカに渡って荒れてしまっとのは違い、この人はジャズとサンバのバイリンガルのようだ。スイッチヒッターのように両方ともしっかり打てている。
(この際面倒なので、ブラジルポップスをボサノバと言ってしまう)

YouTubeにはかなりの曲がアップロードされているが、良い音質の演奏は意外に少ない。

1.Abre Las Allas
 http://www.youtube.com/watch?v=HLHc5_vOno0

ブラジル語で歌っている。カエターノ・ヴェローゾを思わせる。ロマンチックな趣もたたえた佳曲だ。

2.2AM  http://www.youtube.com/watch?v=vm4M5SGjLDI

ブラジル高地の風を思わせる爽やかなメロディーが、ジャズっぽく転調されて展開されていく。スキャットが見事である。

3.Bom Bom Bom Chi Chi Chi
  http://www.youtube.com/watch?v=cvrjTCYU3B4

ジャズ・サンバで、シンコペートしたリズムが強烈に打ち込まれる。最初はベッチ・カルバーリョを彷彿とさせる歌いぶりであるが、途中からジャズのリズムに変わり、エラ・フィッツジェラルドも真っ青のスキャットとなる。
リサイタルのつかみの曲。これで客を一気に乗せていく、すごい腕前だ。

4.Cry Me A River

完全な(と言ってもブラジル臭は残るが)ジャズのイディオムによる演奏である。子音、とくにvとθがはっきしりないスペイン風英語だ。
どうもホントのジャズにはならない。

5.Funky Tamborim
 http://www.youtube.com/watch?v=Bx4F_iChqNk

私はブラジル人の演奏する「ファンキー」というジャンルが大好きで、ジルベルト・ジルもやっているが実にノリが良い。USファンキーと違って騒々しくない。
もちろんブラスが大活躍するのだが、とりわけブラジル音楽では必ずトロンボーンが一節やる。これがいいのだ。

6.Intimidade

ほぼ正調のボサノバ。低音で迫るタニアの歌には、なんとも言えぬ色気がある。この人にはボサノバが一番なようだ。

7.Lemon Cuca
 http://www.youtube.com/watch?v=uQqt1_DhEmE

もう一人の女性歌手が加わってデュエットとなるのだが、この掛け合いがなんともかっこいい。

8.Olha quem Chega http://www.youtube.com/watch?v=_7cztLf7zwM

思わずクレジットを見直してしまう。ほんとうにタニア・マリア?
まるでマリア・クレウーザ。
と思ったら、これはあのエドゥアルド・グディンの曲だった。
(わたしのホームページのテーマ曲の作者)

9.Que vengan los toros 

滑り出しはまったく歌なし。見事にジャズ・ピアニストとしての腕前を発揮している。中間部でスキャットが入るが実に快調。疾走している。
たまたま曲名のアルファベット順に並べただけだが、コンサートの終曲にふさわしい。

10.Sangria


コンサートでいえば団員の紹介みたいな曲。バックのウマさにびっくりする演奏。

11.Yatra Ta
 

9.が終曲とすれば、これはアンコール曲。ノリを最後まで持ってくる。

実に見事な演奏。恐れいりました。