赤旗のパリ特派員、浅田記者がシリアへの武力介入問題について詳しく報告している。

まずは「パリジャン」紙が8月31日に発表した世論調査。

フランスのシリア介入に対し、反対64% 賛成34%となっている。浅田さんは「圧倒的多数の国民が軍事介入に反対」と評価しているが、私にはむしろ34%が賛成していることのほうが衝撃だ。

「軍事介入」なのか「介入」一般なのか、質問の内容が不明だが、介入についてかなり広範の支持があるということだ。こ

れはイラクのときとは大分雰囲気が違う。

介入反対の理由(複数回答)も、最多は「シリアをイスラム過激派の政権に変える危険」で、これが37%だ。次いで、「中東地域を混乱させる危険」が35%だ。

つまり介入そのものへの原理的な反対ではない。条件付き反対だ。

「あれこれの国ではなく、国際社会全体で決定すべき」という反対理由は29%にとどまっている。

浅田記者は、この世論調査が「英国政府が軍事介入を断念」の報道後に行われており、少し熱が冷めた状況での調査であったとしている。その前の世論調査では、「介入反対」は59%にとどまっていた。


背景としては二つ考えられる。一つはリビア介入の「成功」、そしてマリへの介入の「成功」という二つのサクセスが、世論を後押ししている可能性だ。

もう一つはシリアが旧植民地であったという理由。フランスの宗主国意識というのはかなり強烈なものがある。ベトナムでもアルジェリアでも保守と革新とを問わず、植民地の維持については一致して支持してきた。

皮肉なことにこういう宗主国意識から最も自由なのがド・ゴール派だ。第二次大戦後、シリアをふたたび占領下においたのはドゴールである。しかしアルジェリア紛争においては、ド・ゴールは植民地支配に幕を下ろす役割を演じた。

彼らは「どちらが得か」という発想から出発するから、その政策に倫理性はない。しかし「得にならない」と判断すれば手を引くという発想の自由は保持している。