と言った舌の根も乾かぬうちに、すぐ訂正。

Hashigozakuraさんが良い情報を提供してくれていた。 このブログは参議院土壇場のバタバタを巡る情報でもお世話になった。

アップル、アイルランド使った節税 

事実上の「二重非課税」

(日経 2013/6/3)

という八十島綾平記者の署名記事だ。以下、記事の要旨。

ポイントは大きく3つある。

1つめは、税率を下げて企業を誘致してきたアイルランドに、海外の利益を集めることだ。

アップルのアイルランド子会社(ASI)が、元卸業者となる。これを高めの価格で欧州、アジアなど海外拠点に販売する。そうすると利益のほとんどがアイルランドに集まり、他の海外拠点はほとんど利益が出なくなる。

2つめは本社とASIが知的財産の研究開発コストを分担することだ。ASIは本社よりも多くコストを負担する。それに見あって利益の取り分も増える。知財が生む付加価値が大きいほど海外に利益がたまる。

3つめは、子会社を税法上の無国籍に近い状態としたことだ。
米国は設立地が国内の会社に課税し、アイルランドは国内に経営機能がある会社に課税する。
そこでアイルランドに設立した子会社は、米国に経営実態を置く形にすれば、どちらの国からも基本的に課税されなくなる。
つまり「二重非課税」に近い状態となる。

米上院が特に問題視したのはこの三つ目のポイントだ。たしかに多国籍企業が、無国籍企業になるというのは由々しい問題だ。

しかし、この文章、何か見たことがある文章だ。

チェック・ザ・ボックス規則

米国には、こうした課税逃れに網をかける「タックスヘイブン対策税制」がある。アップルはこの対策として別の抜け穴を組み合わせた。通称「チェック・ザ・ボックス規則」の活用だ。

ということで、以下は「チェック・ザ・ボックス規則」を使った税金逃れの説明。(チェックザ・ボックスの説明は文末にあり)

①アイルランドにASIの“親会社”を設立。これを海外統括会社(AOI)と称する。

②ASIはAOIの子会社となる。そうすると「チェック・ザ・ボックス規則」の下では子会社は課税対象外となる。

③AOIも、税制の例外規定によって米国からは課税されない。(ここは「タックスヘイブン対策税制」がどういう規制で、何故、親会社を作るとそれをスルーできるのか、という知識がないとわからない)

当局との交渉でさらに切り下げ

アップルはさらにエグいことをやっている。

アイルランド課税当局との交渉で、公式税率(12.5%)をさらにまけさせ、実質2%以下に抑制した。

こうしてアップルは、グループ全体の実効税率を約25%まで抑えることに成功した。

日経新聞には、上記の説明をわかりやすくするために図表が載っているが、正直の所、もっとわかりにくい。

課税逃れ、OECDやG8も対策検討

これまでもケイマン諸島などのタックスヘイブンや、アイルランドなどの低税率国に利益や知的財産を集める節税策への対応は議論されてきた。

最近は、複数の制度を組み合わせることで生じる「当局が予期しない節税策」が重視されるようになり、これらは「税源侵食と利益移転(BEPS)」と呼ばれている。

また「チェック・ザ・ボックス規則」が問題の一端となっていることも認識されつつある。米国では数度にわたり規則を見直そうとしたが、反発を受けて頓挫している。

世界統一の課税ルールの実現が求められていることは間違いないが、話が進めば「取り分」をめぐる新興国勢との争いに発展する可能性もある。

OECDと国連は別々の国際課税ルールを提案しており、国連は源泉地国を重視している。

「かつては植民地として、今は知的財産権で搾取されている。税は現代の南北問題だ」。インドの税務当局者が日本の当局者にこう強調したという。


おなじHashigozakuraさんのページで、チェック・ザ・ボックスの説明もつけられている。日経「チェック・ザ・ボックス規則とは」からの転載のようだ。

チェック・ザ・ボックス規則とは  

米財務省規則の通称で、米国企業が海外に持つ拠点の税務上の扱いを二つのうちから選べるという、いかにもアメリカ的なルール。

(1)法人(課税対象)にするか(2)支店(課税対象外)にするかを質問シートに沿ってチェックを入れると自動的に判断される。

子会社であれば一般に米タックスヘイブン対策税制(CFC税制)により課税される。
しかし別の持ち株会社を設立して孫会社にしてしまえば、課税対象外となる。

この規則はタックスヘイブンにある孫会社まで対象にしており、問題と なっている。