コラム「朝の風」で(平)さんがきわめてクリアカットにアベノミクスを説明している。

アベノミクスはケインズ主義と新自由主義という相容れない水と油のミックスだ。
金融政策はマネタリズムであり、
成長戦略はサプライサイド経済学であり、
財政出動はケインズ政策の悪用である。

と、一刀両断だ。

ただ、これではいくらなんでも単純化し過ぎではないかと思う。
多分、これを聞いたらケインズも、ハイエクも、フリードマンも怒り出すだろうと思う。
せめてケインズもどき、ハイエクもどき、フリードマンもどきというべきだろう。

現実政治の中でアベノミクスを論じる場合は色々な切り口があるが、セオリーとしてみるのなら、国債の戦時国債化こそが問題の核心である。

これはフリードマンではない。バーナンキの理論だ。ただしバーナンキの言うのは国際基軸通貨としてのドルの話である。辺縁的な通貨としての円に適応できるような理論ではない。

日本は長期不況下での財政再建という、大変難しい課題を突きつけられているわけで、「日銀券を刷りまくれ」と呼号するのは、左右いかなるセオリーから見ても狂気の沙汰である。

もし、火急の際のやむをえざる措置と見るにしても、その出口戦略がないとすれば、1年を経ずしてソブリン危機をふくめ大変な事態になりかねない。ヘッジファンドのトレーダーが舌なめずりしている様子が目に浮かぶ。

ここにアベノミクスの最大の深刻さがあるのだろうと思う。