シリアのサリン使用がほぼ確実となった。

13日に米政府が明らかにしたもので、概要は次の通り。
1.アサド政権が昨年、反体制派に対して複数回、神経ガス・サリンをふくむ化学兵器を使用した。
2.規模は小規模なものであったが、それによる死者は100~150人と推定される。

オバマ大統領はこれまで、化学兵器の使用がデッドラインだと繰り返しており、今回、その見解に基づいて、反体制派への支援提供を拡大することを明らかにした。しかし「拡大」の具体的な中身については明らかにしていない。

今のところ共和党の有力議員も軍事援助の方向で一致している。

しかし、この方針はイスラエルの戦略とバッティングする可能性がある。先日のシリア軍・ヒズボラのクサイル制圧作戦は、イスラエルの黙認のもとに行われている可能性がある。少なくともイスラエル軍はヒズボラを牽制していない。

かつてイスラエルは、シリアをイラクと並ぶならず者国家と見て、打倒を狙っていた。しかしアサド政権が倒れて、それよりたちの悪い反イスラエル政権が誕生するのはもっと困る。

イラク、アフガンと続く戦争でアメリカは疲弊しているといわれるが、リビアでは反カダフィを支援したし、SAMミサイルを供与するくらいはどれほどのコストもかからない。

それなのに何故ちゅうちょするか。それはイスラエル筋の圧力ではないのだろうか。

ちゅうちょする口実として、「化学兵器を使ったら介入するぞ」と言っていたが、本当に使ってしまった。
だから、これまでの発言の手前、介入せざるをえないのだが、果たして軍が動くのだろうか。

軍をあいだに挟んでイスラエル・ロビーとオバマ・国務省・CIAの綱引きが始まったというところかもしれない。