ブラームスの晩年のピアノ曲は、結構出来不出来がばらつく。
作品117,118は全曲良い。117_3はブラームスの中でも名曲だ。116_2の“サンライズ、サンセット…”みたいのもいいね。

いまでも、思い出すのだが最初に買ったCDがひどかった。
日本人のかわいこちゃんの演奏で、そのにっこり笑ったところがジャケット写真になっていて、つい買ったのだが、面白く無いのなんのって、おかげでブラームスのピアノ曲はつまらないものだと思い込ませてくれた。

それがケンプの演奏で、案外悪くないものだと考えなおした。
しかし件のかわいこちゃん風の演奏もたくさんある。ラドゥ・ルプーなど「枯淡の境地」というのだろうか、トドかセイウチのように鈍重で、膝のプログラムを思いっきり床に落として盛大な音を立てたくなる演奏である。

グリモーの演奏を聞いて、「おぉこれだ!」と思った。ケンプがもっと上手ければこうやって演奏したかったろうな、と思わせる演奏だ。
なんて言ったらいいんだろう、寂しさの中にキリッと「かっこ良さ」があるんだね。あの髭ぼうぼうの写真からはうかがえないが、音楽はダンディなんだね。

グリモーというピアニストは、私生活では相当の変わり者のようだが、演奏は至極まともで筋が通っている。グールドのように奇人を売り物にしているわけではない。

そんなに聴き込んでいるわけではないので、これが最高という自信はないが、久しぶりに面白い、眠くならないブラームスを聞かせてもらいました。

それにしてもツィマーマンはまだ後期ブラームスを弾いてないな。

と思ったら、作品119の1と2の音源がありました。演奏会の隠し撮り(April 13th, 2008, L'Aquila, Italy)のようです。これが素晴らしい。
verklaertenacht1899(浄められし夜)さんのアップロードですが、やることはおよそVerklaert ではない。でも、ありがとう

ラクイラはローマ市から山の中に入った田舎の観光スポットで、2009年4月に地震があって多数の死者を出したそうです。演奏会はその丁度1年前ということになります。