安倍首相のいう「成長戦略」は矢の向きが逆だと言ってきた。
他の日本の矢が正しいかどうかは別にして、景気の振興、内需の拡大という方向はそれなりに感じられるが、「成長戦略」はどう見ても成長どころか内需の減退をもたらすものでしかない。

「世界で一番企業が活動しやすい国」というのは、いわば日本を多国籍企業の植民地とするということだ。

多国籍企業にとって一番仕事がしやすい環境とは、第一にタックス・ヘイブンになって資本の出し入れ自由の国になることだ。第二に労働力流動化が進んで首切り自由、労働者使い捨て御免の国になることだ。第三にあらゆる規制を取り払って、安全とか環境とかを一切考慮しないということだ。

(多国籍企業の道徳心のなさは、「課税逃れ」に典型的だ。
EUは、取り逃がしている税額が1兆ユーロ(約130兆円)になると見積もっている。これはEU加盟27カ国の財政赤字を合わせた額の2倍だ)

日本という国にとって、それが何を意味するか。
第一に国家の収入は減り、生産活動は外国に流れるということだ。第二に、勤労者の生活はますます悪化し、内需は収縮するということだ。第三にアメリカの悪いところがどんどん侵入し、自分のことしか考えない風潮が広がっていくということだ。

一言で言えば、「日本という国が壊れる」ということだ。

安倍首相の言葉を借りるなら、「世界で一番国内企業が活動しやすい国」にしなければならない。
いまや身も心も多国籍企業となった大企業ではなく、国内企業に軸足を置く産業政策への切り替えが必要だ。そのために成長力のあるものづくり産業を振興・育成しなければならない。

「経団連よさようなら」を宣言するのは、今でしょう。