医療の現場で医者の出番がもっとも求められるのが風邪である。
市中ではたいてい売薬で治すのだが、それでも治らないと医者のところに来る。
理由は
1.もっと強い薬や注射などを持っている
2.症状に応じて引き出しを沢山持っている
3.重症度を判断できる
4.悪化した時に責任持ってくれる
ということだろう。

これを医者の側から「治療戦略」として考えると、
1.問診・診察・検査による情報収集
2.対症療法
3.より濃密な治療
4.重症者の後送
ということになる。ただし、往々にして1.と2.は順序が逆になることもある。
私のような老健担当医は、1.のなかに経過観察という項目が含まれる。
2.と3.の境界線はかなり曖昧である。抗生物質を使うか否かが境界となることもあるし、脱水や栄養不良に対する点滴治療が境界となることもある。
原理的には前者だが、予防的に抗生物質を使うこともあるので、点滴するか否かが常識的な境界線と見て良いだろう。
3.と4.とのあいだにも、かなり広いグレーゾーンがある。風邪の大流行の時は、急性期病院が満員で、入所者は後回しにされることも多い。逆の立場なら、私もそうするだろう。

次に、老健における治療の主体をなす対症療法について、もう少し詳しく触れておきたい。