最近のシリアを回る数字は凄まじいものがある。

6月7日のUNHCRの発表によると、

国内難民が680万人、国外難民が345万人に達するとの見通し。合計で1千万人で、これはシリアの人口の約半分。

ただしこれは今年末時点の予測の数字なので、大分膨らませている可能性がある。

私は北部トルコ国境地帯で反政府派が対空ミサイルを使って政府軍基を撃墜したというニュースを聞いたとき、これで勝負あったなと思った。

それからすでに1年近くを経過しているのに、一向に戦局は打開されない。なぜか?

誰かが反政府軍の進撃を抑えているのであろう。それは誰か?

答えはイスラエルと決まっている。

アレッポから北は反政府軍にくれてやる。しかしレバノン国境への侵入は許さない、というのがイスラエルの答えだろう。

今回のヒズボラのクサイル奪還は、イスラエルのヤラセとしか考えられない。イスラエルにとっては、シリア政府はもはや敵ではない。イラクのフセイン打倒のどさくさのあいだにならず者国家に指名して徹底的に絞り上げた。

かつてのPLO、PFLPに比べれば、ヒズボラなど鼻くそみたいなものだ。

とにかくシリアがスンニ派ゲリラの仕切る国家になるのが最悪のパターンだ。

オバマは「化学兵器の使用が確認されれば介入」といったが、いつの間にか沈黙の姿勢に戻った。

反政府ゲリラの支援国トルコでは、エルドアンに対して民主主義を求めるデモが激しさを増し、オリンピック招致にも暗い影を落としている。

それ自体は積極的に評価すべき闘いではあるが、そこにアメリカの影が存在していなにのかも気になる。「エルドアンさん、そんなに頑張っていていいんですか?」という勧告とも見て取れないこともない。

無論、アメリカとて、このまま流血の事態が続くのは望む所ではないだろうが、スンニ派・反イスラエル派がシリアの政治を掌握するのは、それ以上に、「あってはならない事態」なのではないか。