赤旗の連載「米国従属経済」は読み応えがある。

経団連の総路線が「日米経済統合」にあることが分かる。
つまりは日本の大企業がアメリカの大企業と一体化することで、日本経済を支配しようという路線だ。
もちろん、その際はイコール・パートナーではない。アメリカ独占資本の対日支配の一翼となることによって、みずからの生き残りを図ろうという路線だ。率直に言えば「売国」路線だ。

これらの新支配層は、葛藤を持たない。彼らの中にぶつかり合うような二つの価値観は存在しない。

たとえば、80年代に苦渋の選択を迫られたり、時によっては兜をかぶって抵抗してみたり、というような葛藤は、彼らにはない。
日の丸意識は少なくともアメリカに対しては消失していると考えられる。(それが歪んだ形でアジア諸国に対する日の丸意識として反映されているのかもしれない)

「舞浜会議」における対立は、こういう形で解消されたのである。宮内社長の発言は、当時は異端であったが現在ではまごうことなき主流となっている。
彼らは「売国奴」であることを恥とは思わない。それは日本という国に傷をもたらしたとしても、みずからの会社に利益をもたらせば善なのである。いわば究極の企業ミーイズムなのだ。
この価値観の根本的な転倒が、97年以降の激変の根幹を成している。
この切り口から、もう一度さまざまな問題を捉え直してみなければならないようだ。