アーミテージが都内で講演し、慰安婦発言について批判した。

「韓国国民・国家の尊厳に対してどれだけ恥ずべき発言か、彼らがどんな気持ちになるかまず考えるべきだ」
「日本は70年間、人権の尊重について模範だった。慰安婦をめぐる発言はこの水準に達しておらず、この状況を一部の政治家がきちんと理解していないことを示している」
「これらの発言は“安倍政権は右翼のナショナリスト政権だ”と宣伝する中国外交を利することになり、さらにこの地域における中国の拡張主義から注意をそらすことになる。我々全員にとって有害な発言だ」
ここまではいいが、最後が振るっている。
「政治家はこの問題について発言しないことがベストだ」


以前にも触れたが、アーミテージはアメリカ軍産複合体の対日スポークスマンであり、かつてイラク戦争の時には戦争への参加を煽った張本人である。とても「平和の人士」とはいえない。
ただ、定期的に発表するアーミテージ・レポートでは、憲法改正の要求から解釈改憲で集団的自衛権を可能にしようとする方向へ軸足を移している。いわば憲法“安楽死論者”である。
背景にはアメリカの対中戦略の変化がある。

2012.9.15 第三アーミテージ報告

ことさらに慰安婦問題で、批判的な立場を明確にしたのにはウラがあるだろう。しかし、それがアメリカ世論を反映したものであることも、抑えておく必要がある。

そうすると、アメリカの意向を無視してまで、誰が、何故、暴走したのだろうか。このへんは日本の政治の深層に迫る分析がもとめられるところであろう。