経団連は一方では労働力流動化を訴えながら、他方では財政再建を強調するが、この二つは矛盾すると思う。
財政再建のためには、財政規律の強化と景気の回復が重要だ。財政規律の強化は支出減少を狙うものであり、景気の回復は収入増大を狙うものだ。
しかし財政規律の強化は不況局面では景気をさらに悪化させる可能性があり、慎重でなければならない。
とすれば、現在取りうる政策の主体は景気刺激策となるであろう。
ここまではごくごく常識の範囲内だろうと思うが、この常識が経団連には通じない。

TPPも同じで、日本の産業のかなりの部分に致命的なダメージを与える可能性があり、少なくとも現在の局面ではとるべき選択ではない。グローバル基準に見合った長期的な産業構造改革についての議論そのものは否定しないが、それは今、「バスに乗り遅れるから」とあせる話ではないだろう。

この常識も通じない。

景気回復と、それによる財政の再建という戦略は、アベノミックスですら掲げている。いまや日本の常識である。

その戦略の環となるのが内需の拡大であり、その前提となる雇用の拡大と雇用の質の確保である。

こういう流れから見ていくと、経団連の発想は日本を潰そうとしているとしか思えない。

今の時期に増税をやれば景気の底は抜け、財政危機はさらに深刻化する。労働力の流動性を高めれば、庶民の不安感はさらに高まり、支出は抑制される。

なぜそのような「やらずぶったくり」の愚かな主張をするのだろう。商売というのは相手があって、ウィンウィンの関係を築く中で成り立つものではないのだろうか。そうでなければ、それはビジネスではなく強盗だ。

しかし強盗というのは、相手に金があればこそ成り立つ。人を傷つけ、殺めても500円しか財布に入っていなければ、この商売成り立たなくなる。

こんな分かりきったことがどうして分からないのか。それが不思議だ。