池上さんという評論家のTV番組でTPP礼賛論を展開していた。

戦前のブロック経済化に対する反省からGATTが始まって、それがWTOにまで至ったのだが、それが行き詰まったのでFTAやTPPなどの構想が始まったのだということだ。

そこから得られる結論は、世界の経済が発展するためにはTPPが不可欠だということになる。
此処から先はほとんどフィクションの世界だから省略する。

しかし、「ブロック経済化に対する反省」との関連でいえば、池上さんの議論では国際通貨問題が完全に欠落している。結論から言えば、ブロック経済の復活はありえないということだ。

たしかに戦前のブロック経済は決済通貨がドルか、ポンドか、フランかという選択を含んでいた。ただこの場合、2つの前提があった。一つはポンドにせよフランにせよ、植民地体制を前提にしていた。この前提はすでにない。
もう一つは金本位制が仮想的ベースにあって、そのことを前提にした管理通貨制度であったということである。この前提もすでにない。

であるとすれば、結論は唯一つ。
帝国間の矛盾はすでに消滅した。現在のグローバリゼーションは、ドル経済ブロックへの包摂としてしか存在し得ないということである。

いっぽう、そのドルの基盤も明らかに弱体化しつつある。たしかに今もなお、ドルは決済通貨としての相対的有効性を持ち続けている。しかし誰もが分かるように、ドルはすでに基軸通貨としてのヴィンテージを失っている。「とりあえずの決済通貨」でしかないのである。

そのようなドルへの収斂は、つまるところ地獄に向かっての突進でしかない。

現実的な政策としての選択幅は限られており、ユーロへの乗り換え,SDRの活用などは当面の話題ではないのだが、原理的な部分でのこの覚めた目は、常に持ち続けなくてはならないと思う。


上記の文章は、大分酔いが回ってから書いているので、論旨が乱れている。

言いたいことは、こういうことである。
池上さんの論理には、二つのトリックが潜んでいる。

一つは、「GATTが正しく、ブレトンウッズ精神を追求するものであった」という前提から出発していることだ。これは歴史的事実とそぐわないものがあり、相当の議論を必要とするものではないか。
もう一つはWTOが進行しない原因が、「参加国が多すぎてまとまらないため」という、およそ非論理的な判断となっていることである。

それぞれについては、すでに過去のブログで触れているので、とりあえずリンクを張っておく。

2013/03/25 – ブレトンウッズ精神とTPP http://pub.ne.jp/shosuzki/?entry_id=4817938

2013/03/25 – 安倍首相TPP参加の論理 http://pub.ne.jp/shosuzki/?entry_id=4817618

2011/10/17  通貨問題は貿易問題だ バンコールと国際貿易機関ITOhttp://pub.ne.jp/shosuzki/?entry_id=3950437

2011/10/20 – ITO国際貿易機構)の遺したもの その1 http://pub.ne.jp/shosuzki/?entry_id=3955593

2011/10/27 – ITO国際貿易機構)の遺したもの その2 http://pub.ne.jp/shosuzki/?entry_id=3967810