私の編集した脱原発年表を見てもらうとよくわかるのだが、アメリカのトップが闇の底から姿を現したところが一瞬あった。それが去年の9月のことである。
政府が「2030年代に原発稼働ゼロ」の方針を閣議決定しようとしたとき、エネルギー省のポネマン副長官が「このような措置をとれば意図せざる影響もありうる」と述べたのだ。これがやくざ並の脅迫でなくてなんだろうか。そして、これこそアメリカ支配層が公然と顔を出した「露頭」であった。
以後、半月のあいだに情勢はころりと変わり、閣議決定は断念されることとなった。方針変更にアメリカの圧力が働いたことは、米倉経団連会長の「日米同盟関係の維持も重要である」という発言に示されている。

と、ここまでが前書き。

それで、そこまでヤバい橋をわたってまで、どうして原発再稼働に固執するのか、という背景の説明が必要だ。

赤旗では概略以下のように説明している

1.日本の原発は米核兵器の生命線だ
アメリカは79年のスリーマイル島原発事故のあと、原発の新規建設ができない状況が続いている。今後老朽化した原発が廃炉になっていけば、アメリカはプルトニウムを生産できない国になってしまう。その際、日本の原発の製造するプルトニウムはアメリカ核戦略の生命線となる。

2.日本の原発技術は核兵器開発に不可欠だ
原発が、35年以上も前のプラントだとすれば、それに伴う技術も35年前から進んでいないことになる。その間にアメリカの核利用技術は致命的に立ち遅れており、日本の技術なしには核戦略は構築し得ない。

3.高純度プルトニウムが必要だ
原発からプルトニウムができても、そのままでは核兵器には使用しにくい(使えないことはない、ということは「手持ちのプルトニウムで原爆は作れる」で既述
高速増殖炉を使えば、きわめて純度の高いプルトニウムが獲得できる。
このためにアメリカは国際協力計画(GNEP)を打ち出し、もんじゅを日本に押し付けた。押し付けられた開発リスクが累計で約1兆円ということになる。
それでも建設をやめられないし、やめられない理由を語ることもできないのだ。
なぜなら、高速増殖炉「もんじゅ」はアメリカのものだからだ。

記事そのものは、ちょっと散漫なところがあるが、ファクツを整理すれば上記のようになる。