改憲派の三つの矛盾

共産党の第5回中央委員会総会が開かれた。

情勢報告で、新たに展開されたのが「改憲派の三つの矛盾」という項目だ。

報告では改憲派の狙いが以下のように述べられている。

彼らの一番の狙いは、解釈改憲で集団的自衛権を可能にするとともに、明文上も憲法9条を規定して、日本をアメリカとともに海外で戦争をする国にすることに置かれている。

そのうえで改憲派には三つの弱点があると指摘している。

1.憲法96条を突破口として押し出したことによる弱点

2.「改憲案」のあまりの時代逆行ぶりへの不安と批判

3.「靖国派内閣」の本性むき出しへの批判

見出しだけ読むとちょっとわかりにくい規定だが、少し中身を見ていく。

1.について

9条改正には賛成だが、96条改正は反対という意見が出てきた。

憲法の憲法たる所以が失われることは、立憲政治の自殺行為だとされる。

(共産党は96条改定反対の一点で国民的共同を訴えるというが、ウ~ム…)

2.について

改憲案の中身は9条に留まらない。

とくに97条(基本的人権は犯すことのできない永久の権利)の削除は重大な内容をはらんでいる。

また表現・結社の自由を「公益及び公の秩序」に反しない範囲に限定。

総じて、憲法を権力を縛るものから、国民を縛るものへと変質させる狙いがある。

3.について

この改憲策動はアジアと世界の人々から危険視されている。

ということで、これから議論が始まっていくのだろうが、未だ熟れていないという印象だ。

私としては、まず真っ先に挙げなければならない矛盾は、国民の願いとのあいだの矛盾だろうと思う。安倍内閣は敵失で勝利しただけであって、深部の力の目指す方向とは真逆だということだ。

第二の矛盾は、保守本流との矛盾だ。彼らは狂信的右翼であり、デマを存立基盤としている。

第三の矛盾は、アメリカの軍産複合体との矛盾だ。それはかつて70年代に語られた軍国主義復活=「日本型ファシズム」の方向であり、東京裁判の否定の上に形成されている。米のアジア戦略と明らかに齟齬を生じている。

という政権の抱える基本矛盾があって、それが憲法問題で集中して現れてくるだろうと見ている。