脱原発をめぐる力関係とその変化

脱原発をめぐる力関係を知りたくて年表を作ってみた。

脱原発派は、とりあえずはひとつにまとまっている。それは原発維持派が力で押さえつけようとする姿勢を変えていないからだ。そういう点では未だにがっぷり四つの状況にある。

原発維持派の構造

原発維持派は、階層を成している。

おそらく一番基層をなすのはアメリカの軍産複合体である。歴史的に見れば日本に原発を導入し技術を供与したのはアメリカであり、なかんづく軍産複合体である。

それは今でも原発維持派の最大の動因となっている。これがこの二年間の中のいくつかの場面で露頭している。

財界は、この2年間維持派の主役を務めてきた。経団連会長みずからが維持派の最大の旗振り役となってきた。彼らを駆り立てるのはビジネスへの衝動もあるが、なによりもアメリカの意向である。

第三は、財界の一部でもあるが、いわゆる原子力村の住人たちである。彼らはおおっぴらには発言を控え、もっぱら危機煽りキャンペーンに力を集中している。末端では立地自治体の首長らが未だに忠誠を誓っている。

霞ヶ関、とくに経産省は、大企業の意向を受け入れつつ、再稼働に向けた作業をコーディネートしている。国会の事故調査委員会で指摘された「囚われ」状況はそのまま続いている。

これら4つの層が、さまざまな事態、政府のあれこれの方針提起に際してどう動き、どう揺れたのかを分析することによって、全体の流れがどう動いているのかを明らかにすることができるのではないだろうか。

原発維持派の矛盾

経産省は、原発行政のための最大の武器であった原子力安全・保安院を失った。当面は科学技術庁(外局)で原発の海外売り込みなどに集中することになる。しかし廃炉作業などで出番はあるだろう。もんじゅは文科省の管轄(原子力科学技術委員会)である。この他に内閣府に所属する原子力委員会があるが、ムラ関係者を集めたこの委員会は、去年5月以降、休眠状態に追い込まれている。

財界にも矛盾がある。一生懸命旗を振れば振るほど、国民の目には悪役に映らざるを得なくなるからである。そうでなくても消費税、TPP、非正規切りなど何をとっても財界にたどり着く。東レや武田薬品などはいつ不買運動を起こされてもおかしくない立場に身をおいている。

原子力村は決して諦めていないが、財界の発言力が弱まると、見通しが厳しくなってくる。「狼がやってくる」はもはや通用しない。目下は値上げ申請で攻勢をかけているが、これは自縄自縛のところがあって、発送電分離や買取強化などの動きを招きかねない。

米軍産複合体は国民の前に直接姿を現す訳にはいかない。だから財界や政党を使って闘いを督励することになる。しかし余りゴリ押しすれば、日米同盟そのものに亀裂が入る危険がある。