経済記事も読みにくいが、労働記事はもっとわかりにくい。
そもそも改悪を改良のように描き出そうとするから、どこかに嘘が混じる、それを隠そうとするから難しくなる。もっと言えば、「分からないでくれたほうが良い」というたぐいのものだから、わかりにくいのは当たり前だ。
と言いつつ、赤旗の解説記事を読む。

安倍首相は6月に「成長戦略」を発表する予定だが、その中に雇用制度改革が含まれる。
雇用改革の柱は、
①円滑な労働移動、②人材紹介の民活導入、③正社員の多様化、
である。

①円滑な労働移動: 雇用維持から転職奨励に
②人材紹介の民活導入: 労働保険は失業対策でなく転職支援に
③正社員の多様化: 「限定正社員」制度の導入。

③がどうも味噌で、他は付け足しみたいだ。
限定正社員とは、赤旗によれば、「職種・地域・労働時間を限定した正社員」という意味のようだ。これは「その社員の担う業務や事業所がなくなれば合法的に整理解雇できる」という制度らしい。

この解釈が正しいとすれば、これは普通は「契約社員」と呼ぶものだ。

時と場合によっては臨時社員と呼んだり、地域社員と呼んだりする。昔学校の小遣いさんとか、役所の給仕さんなどは「雇員」と言っていた気がする。

なるほど多様だ! ただし多様なのは呼び方だけで、非正規であることは同じだ。「女中さん」と「お手伝いさん」の違いみたいなものだ。

一方限定のつかない正社員には、これまで懸案になっていた「ホワイトカラー・エグゼンプション」が適応されるという。
無限定正社員は、労働時間規制が外され、さらに残業代もなくなるそうだ。

そうなると、企業は二重に儲かることになる。
正社員の半分が事実上の臨時雇いにできる。残りの半分には残業代を払わなくても良いことになる。

だが、これは結局、企業にとって得する事になるのだろうか。

第一に、愛社精神度というのは死語になる。「愛さなくていいから給料減らして」というのだから、それは覚悟のうえだろう。
第二に、人材育成の継続性を放棄するのだから、人的資源は枯渇する。会社は縮小均衡の局面から抜け出せなくなる。
第三に、そうでなくても低下している国民所得はさらに低下し、消費志向はそれ以上に冷え込む。

そもそも「残業代」というのは、ボーナスと同様、歩合給に近い性格を持ち、労働者を低賃金で使うのにはきわめて有効な手段である。
残業代は実質的には生活給になっているから、これをやめるならその分を固定休に上乗せしなければならなくなる。そうでないと社員のモラルは維持できない。

あまり欲こかないほうがいいんじゃないの、米倉さん。