ちょっと古いが

2012年7月27日付 英フィナンシャル・タイムズ

米国での天然ガスの販売価格は1年前より52%低下した。価格は現在、100万BTU当たり3.07ドルで、08年ピーク時の4分の1にも満たない。

シェルは今年第2四半期の利益が1年前の66億ドルから13%減少した。エネルギー価格の下落が大きな減益要因とされる。

エクソンモービルも、石油の販売価格と米国での天然ガス販売価格の下落が、9億ドル近い減益をもたらした。


こちらはあたらしいところで
2013/04/02 電気新聞

関西電力が、住友商事との間で、米国産LNG購入に関する基本合意書を締結した。

米国メリーランド州でのガス田から住商子会社が購入することになる。2017年後半以降生産開始見通しで、約20年間にわたって年間約80万トンを調達する計画。

注目はヘンリーハブ価格指標での購入という点で、これまでの原油価格リンケージからは解放されることになる。


2012年12月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙

この背景は、フィナンシャル・タイムズ紙に詳しい。(何故だ!)

1970~80年代から続く現行のLNG契約の多くが今後10年で切れ、供給の条件を再交渉する時期に入っている。

日本のLNG業界は、原油と連動する契約から脱して米国のガス価格と連動する価格協定にシフトを始めている。(ヘンリーハブBTU:英国熱量単位)

ロシアのガス大手ガスプロムは、販売価格を原油市場から切り離すことを余儀なくされた。

これらの動きはLNGの輸入価格を30%下げる可能性がある(たった30%?)。

すでに東京ガスや大阪ガス、中部電力などの日本のガス・電力会社や三井物産、三菱商事、住友商事が先行している。

米国はシェールガスブームで供給に余裕が生じている。現在、政府は限定的なLNG輸出を認めるべきかどうかを検討している。(と書いているが、アメリカにそのような余裕はないはずだ)

要するに、LNGは深刻な生産能力過剰に陥っているのだ。当初、アメリカ政府はFTAやTTPなどの貿易交渉の切り札に使おうとしていた。しかし今やそのような余裕はなくなっている。

膨大な先行投資をして能力過剰になっているから、これを販売しなければ倒産が相次ぐことになる。

ただ、LNGはあくまでつなぎであり、最終的にはあらゆるエネルギーを液体水素に転換して蓄える方式の確立がもとめられていくのではないだろうか。


ネットを見ていると、そんなに見通しは甘くないぞと力説している人がいた。たしかにそうだなと思って読んでいたら、結局原発再開論につながっていた。

しかし、その人さえ最終的には5,6ドルに落ち着くと見ている。これで現在の1/3だ。ランニングコストとしても原発と同等である。

問題はここ4,5年の過渡期をどう凌ぐかであるが、それには無理にインフレターゲット政策をとるより円高で推移してもらったほうがありがたい。