ダウンロードして聞くのが癖になっている。
レコード会社と演奏者の敵だ。
だから、いい演奏かそうでもないかはあまり関係なくて、いい音かどうかが最大の関心だ。
アップロードの状態が悪ければ、「きっと元の音はいいんだろうなぁ」と想像しながら聞くしかない。
そんななかで、スメタナの「我が祖国」を聞いたのだが、とにかくいい音だ。
どこからダウンロードしたか憶えがないが、ファイル名が日本語で、MP3の256ビット、固定レートだからおそらくニコニコ動画からのダウンロードだろう。
カレル・アンチェル指揮のチェコ・フィルの演奏、録音そのものは固めの音でちょっと古いから70年前後かと思う。
クレジットを見たら、63年の録音だそうだ。ステレオ初期のものだが、多分リマスターしたのだろう。たしかこの演奏は昔聞いたことがあるはずだが、もっとぼんやりした音だった記憶がある。先日のマゼール指揮ベルリン・フィルのイタリアと同じだ。
水も滴るとは行かないが、そのかわり音のクリアーさは耳を疑うほどである。低音弦もそれなりに聞こえて音の定位もいい。
演奏は、一言でいえば、歯切れのよい演奏である。持って回ったところはなく、直截である。ほとんどブラスバンドの趣だが、さすがに弦が一流である。
ターリッヒ・アンチェル・ノイマンと並ぶ歴代常任のなかでは、一番メカニックを追求した人なのだろう。
どれをとるかは好みの分かれるところだろうが、思わず仕事の手を止めてしまう迫力は、この人に一番感じる。