私は別に村上龍が好きではない。ましてや尊敬もしていない。たまたま趣味(キューバ)が合うときは「おぉ頑張っているなぁ」とは思うが、それ以上のものではない。
前園タイプの風貌は、どちらかといえば鬱陶しい。肉体派ジャーナリストが小説も書いてるんだと思っていた。
メルマガで一生懸命やっているうちに、投資ゼミナールの教祖になったんだと思っていた。縁なき衆生である。
それが知らないうちに、ひょっこりと小説の世界に戻ってきていたようだ。
赤旗にミニ書評が載った。
「55歳からのハローライフ」という本だ。幻冬舎から1500円。私は買わないだろうが、紹介はしておく。

リストラされ交通誘導員の職を得た男に、偶然中学の同級生と再会します。
病に蝕まれホームレス同然の同級生は男に助けを求めます。昔生き別れた母親に会いたいと。
男は異臭を放つ同級生をタクシー、高速バスを乗り継ぎ、母親の元へ怒りに駆られるように連れて行きます。
それは「無力感に押しつぶされてなにか大切なモノを放棄しないための、最後の手段としての“怒り”だと。


この紹介文も随分と感情がこもった文章ですが、とにかく村上龍が投資セミナーの塾長となって、一生を終わったわけではないことが読み取れます。

両切りタバコのように両方の端をざっくり切り落としてから始まるロード・ムーヴィ-。これが読者にどのくらい受け止められるが、なかなか難しい。それによっては両切りピースにもなるし新生にもなる。

まぁとりあえず良かった。向こうの人間になったわけでは無さそうだ。